「減産」可能にする条件整備を

国産材原木市況が停滞局面に

ウッドショック前の価格水準に

スギやヒノキ、カラマツといった国産針葉樹材の原木市況が低調だ。昨年のウッドショックでは価格が急騰し、今年2月にウクライナ紛争が勃発した際にも強めの相場展開となったが、4月以降は住宅需要が減少傾向で推移していることなどから、製材用あるいは合板用の原木に対して全般的に引き合いが弱まっている。

各地の原木市場では、スギの並材価格が1万円台前半(1㎥当たり。以下同じ)とウッドショック以前と同程度になるケースも出てきているほか、末口径が40㎝を超えるような大径のスギ並材には応札すらないケースもある。

合板については、ロシア産の単板の輸入がウクライナ紛争の影響でストップしたことや国内有力メーカーの工場で火災が発生したことなどから、いったんは需給が引き締まったものの、中国産合板の輸入が増加したことや着工減の影響で在庫はだぶつき気味で、メーカー各社は減産に動いている。そのため、カラマツなどの合板用材の市況も弱い。

国産材原木市況が軟弱化している

林業は減産できない?

国産材原木の価格が乱高下を繰り返す要因としては、林業サイドの市場への対応力が不十分であることが以前から指摘されてきた。特に昨春に勃発したウッドショックのように、需要が急増した際には、山元からの供給が間に合わず、相場の急騰に拍車がかかるといった事態が繰り返し起きてきた。一方、現在のように市況が軟弱になっている状況に対しても、国産材の対応力は心もとない。価格が下がれば生産意欲が減退し、出荷量が減るのが道理で、実際に市況低迷下では供給量も減少する。だが、他の業界では当たり前に行われ、木材業界でも合板メーカーが頻繁に行っているような、市況引き締めを目的とした減産措置が講じられることは林業ではほとんどない。


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