[内閣府:少子社会対策白書]歯止めがきかない少子化の波 コロナ禍での変化を好転につなげることができるか

白書を読み解く(後編)

わが国の少子化をめぐる状況は、ますます深刻な状況を迎えている。来年度には「子ども家庭庁」が設置され、対策の本格化が期待されるが、コロナ禍を経て結婚や出産に対する意識などにも変化が見られつつある。

わが国の年間の出生数は減少の一途をたどっている。第1次ベビーブーム期には約270万人もあった年間出生数は、2020年には84万835人にまで落ち込んでいる。第一次ベビーブームから3分の1以下にまで減ったことになる。

15歳から49歳までの女性の年齢別出生率を合計した合計特殊出生率は、第一次ベビーブーム期には4.3を超えていたが、2020年には1.33まで減少している。

結婚や出産を拒む要因はどこにあるのだろうか。国立社会保障・人口問題研究所の調査によると、25~34歳の未婚者に独身でいる理由は、男女ともに「適当な相手にめぐり会わない」が最も多く、次に男性では「まだ必要性を感じない」や「結婚資金が足りない」、女性では「自由さや気楽さを失いたくない」や「まだ必要性を感じない」といった回答が多くなっている。過去の調査と比較すると、男女ともに「異性とうまくつきあえない」という理由が増加傾向にあり、女性では「仕事(学業)にうちこみたい」、「結婚資金が足りない」という理由も増加傾向にあるようだ。

なお、総務省の「就業構造基本調査」によると、2017年の所得分布を1997年と比べると、20歳代では150万円未満の雇用者の割合が増加しており、30歳代では100~400万円未満の雇用者の割合が増加している。若い世代の所得分布が低所得層にシフトしているというわけだ。こうした経済的な理由も結婚を躊躇する要因になっているのではないか。

一方、出産に対する意識については、夫婦に聞いた理想的な子供の数(平均理想子供数)は1987年から低下傾向にあり、2015年は2.32人と過去最低を更新。また、夫婦が実際に持つつもりの子供の数(平均予定子供数)も、2015年に過去最低である2.01人という結果になった。

予定子供数が理想子供数を下回る夫婦にその理由を聞いた結果では、2015年の調査時には「子育てや教育にお金がかかりすぎるから」(56.3%)が最も多かった。2010年の調査時の60.4%からは低下しているが、30~34歳で8割を超えている。

図1 20歳代・30歳代の所得分布

テレワークで夫の家事・育児の役割分担が増加


この記事はプレミアム会員限定記事です。
プレミアム会員になると続きをお読みいただけます。

新規会員登録

(無料会員登録後にプレミアム会員へのアップグレードが可能になります)

アカウントをお持ちの方

ご登録いただいた文字列と異なったパスワードが連続で入力された場合、一定時間ログインやご登録の操作ができなくなります。時間をおいて再度お試しください。