LIXIL、IoT実験住宅「みらいえらぼ」を開設
オープンイノベーション活動を推進
LIXILはIoT実験住宅の第4弾となる「みらいえらぼ」を開設。他企業とのオープンイノベーションの拠点として、スマートホームのさらなる普及に向けた取り組みを活性化する。
LIXILは、埼玉県越谷市にIoT実験住宅「みらいえらぼ」を開設した。
同社は、建材や住宅設備といったハードウェアの面から住宅性能の向上を図る一方で、生活の価値向上といったソフト面にも力を入れるためスマートホームサービスに以前から取り組んでおり、人・物・家・社会が情報で結ばれた「住生活の未来」をコンセプトにIoT実験住宅を創設している。
2011年、東京大学生産技術研究所と協働で、スマートホームの実証実験施設「COMMAハウス」を開設。以降、「U2‐Home」、「U2‐HomeⅡ」とスマートホームの知見やノウハウを蓄積し、製品の市場導入につなげてきた。今般、これまでのコンセプトは受け継ぎながら、同社製品に限らずに最新機器を設置することでIoTホームリンク「Life Assist2」の強化と、スマートホームのさらなる普及を加速するため新しく「みらいえらぼ」をオープンした。
社外機器の連携開発を目的に各機器メーカーと交流するなど、オープンイノベーション活動を推進する場としても活用する。
4つのエリアを活用しIoTの進化、成長を促す
LIXIL住宅研究所のコンセプトホーム「人生100歳時代の未来住宅 五世代」をIoTに特化したものにリノベーションした同施設は、部屋数の多さを生かして「プレゼンルーム」、「遠隔操作ルーム」、「未来提案ルーム」、「社内検証ルーム」の4つのエリアで構成する。
プレゼンルームは、LIXILのIoTホームリンク「Life Assist2」を、家の建材や設備機器と連携することで、どのような暮らしができるかを実際に知ることができる。外出先でも家の中でも、浴室の予備暖房や浴室掃除、お湯はりの遠隔操作ができるシステムバスルーム「リデア」や、外出先から戸締りの確認ができる「スマートクレセント」、スマートフォンで開閉操作ができる「電動シャッター」などと連動する様子を確認できる。LIXIL製品以外でも、エコーネットライトの規格を持つ製品であれば接続が可能で、エアコンや、TV、スマートスピーカーなどと連携できる。
また、センサーを取り付けることで、あらかじめ設定しておいたCO2濃度や室内温度の上限の数値を超えると自動で窓が開いて換気、室温調整を行う機能もあり、新型コロナウイルスの流行や温暖化による熱中症の増加など目下の課題に対応した機能の体感もできる。
遠隔操作ルームは、実際に来場できない顧客に対して、IoT機器の設定、操作方法を説明するために用意した。担当者が遠隔操作で電動シャッターやカーテンの開閉を行い、室内にあるカメラで作動の様子を確認できる。
未来提案ルームは、同社の考える未来のスマートホームを提案するエリアで、オープンイノベーションの実証エリアとしても利用する。現在は、凸版印刷が開発したスマートミラーが展示されている。鏡の前に立つと、床に埋め込まれた体組成計が測った体重や肌温度を鏡に表示し、健康チェックを習慣化できる。今後も、「Life Assist2」の連携機器を強化するために魅力のある社外品があれば、積極的に設置を検討するという。
社内検証ルームは、製品化前の検証、研究を行う専用の非公開スペース。
今回の実験住宅は、スマートホームに興味のある流通店や、オープンイノベーションに興味のある企業に向けての開放がメインとなるが、プロユーザーから紹介を受けたエンドユーザーへの開放は検討中とする。
現時点で施設内に搭載しているセンサーの数は約60個で、1代前のU2‐HomeⅡの250個と比べると少なくなっている。センサーの性能が向上したことや、前回の実験を生かし必要な機能に絞って設置したためだが、今後、他社と協働して様々なシステムを採用するなかで増えていく模様。
同社は、「他社と協力して、特にIoTを使ったヘルスケアに力をいれていきたい」といい、オープンイノベーションを加速していきたい考え。23年中には、凸版印刷の睡眠サポートシステム「スリープテック」や海外企業の、指差しで機器を動かすことのできるシステムなどを未来提案ルームに導入し、開発を進める。
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