(一社)優良ストック住宅推進協議会、23年度スムストック契約数は過去最高の2090件
捕捉率25%と認知度向上へ 長期ビジョンと中期計画策定
「スムストック」の2023年度の契約数は2090件で、初めて2000件を超え、過去最高となった。新たに長期ビジョンと中期計画(24~26年度)を策定し、捕捉率25%とさらなる認知度向上を目指す。
(一社)優良ストック住宅推進協議会が2023年度の活動と今後の計画を発表した。同協議会は、既存住宅流通の活性化と適切な市場形成を目指し、08年に設立され、現在住宅メーカー10社で「スムストック」認定事業を行っている。「スムストック」とは、同協議会の会員各社がこれまで供給してきた建物のうち、住宅履歴データベースの保有、50年以上のメンテナンスプログラム、新耐震基準レベルの耐震性といった基準を満たす住宅。23年度の成約数は2090件で初の2000件超えとなり、前年比11%増の過去最高となった。
スムストック業務の担い手である「スムストック住宅販売士」の育成も順調で、23年度までに累計8289人にまで増加した。21年10月以降の同販売士試験の合格、登録、更新研修は、eラーニングシステムによる研修を実施しており、修了率増加や研修費用のコストダウンに寄与するため、今後も継続する。
認知度向上のため、3つの施策も実施した。1つは動画とウェブ広告で、売却希望者向けに重点を置き、Google、Yahoo、YouTubeで広告を展開。さらに、協議会のホームページをスマートフォン対応で再構成。スムストック住宅販売士が営業ツールとして使用できるムック本も計4万部制作した。
スムストック専用の瑕疵保険は1278件で前年比15%増。買取再販型商品(宅建業者売主型)の普及に伴い、買取再販成約は374件と前年比21%増となった。リフォームなどについて情報提供が行われており、耐震性があり、インスペクション(建物状況調査など)が行われた住宅である「安心R住宅」制度における、スムストック比率は買取再販で52.4%、仲介物件対象のリフォーム提案では98.6%となった。
顧客ニーズや社会環境の変化に合わせ、23年7月にはスムストック新査定式を開始。カーボンニュートラル、レジリエンス対応などのため、新たに「ZEH」「V2H」「熱交換型換気システム」を査定項目に追加するほか、ニーズの減少している設備は削除するなど見直しをはかった。
スムストックブランドは着実に広がっているが、さらなるブランド拡大のため、発足以来初の長期ビジョンを設定。「良質で、安全・安心な住まいのバトンを引き継ぎ、日本の住宅の資産価値向上に寄与する。『いい家は、つづく』」とした。24~26年度の新たな中期計画では、スムストックの質・量の強化とともに、戸建既存住宅のトップブランド獲得を目標に掲げた。具体的な取り組みとしては、捕捉率25%達成、スムストック住宅評価報告書、売買時の承継に関するガイドラインの運用促進などを進めていく。
堀内容介会長(積水ハウス代表取締役副会長執行役員)は「23年度までの中期計画の捕捉率は19%で惜しくも目標の20%には届かなかったが、新中期計画では25%を目指そうと新たに目標設定した。また、ニュータウンなどの所有者と利用のミスマッチを解消するために買取再販を進め、その数は順調に伸びている。安心R住宅に関しては、住団連とも相談したうえで(国土交通省)住宅局へ提言を行った。国の協力をいただきながら、優良ストック住宅をこれからも推進していく」と展望を語った。
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