新商品、ツール提供など高断熱窓訴求が加速
性能表示の上位等級新設で窓が変わる!?
住宅性能表示制度の断熱等性能等級5、6、7の新設や、それに伴う補助金の断熱レベルの底上げなど住宅の高断熱化が勢いづくなか、サッシメーカー各社も住宅事業者やエンドユーザーに対して様々な方法でアプローチをとる。
今年に入り住宅の高断熱化が一気に加速している。6月に省エネ基準への適合を義務化する内容の改正法が成立、住宅性能表示制度の断熱等性能等級ではZEH水準の等級5に続き10月には等級6、7も施行されるなど制度の整備が急ピッチで進んでいる。
こうした住宅の高断熱化の要となるのが開口部であり、サッシメーカー各社は高断熱化の波を逃すまいと様々な施策を打ち出している。
特に、上位等級である等級5、6、7の創設は大きなターニングポイントとなりそうだ。等級4に相当する現在の省エネ基準が2025年に義務化されるが、2030年にはさらに一歩上をいく誘導水準である等級5の適合義務化が予定されている。ZEHレベルが当たり前に求められる時代が目前に迫るなか、住宅事業者には、その適合義務に向けた早急な準備が求められる。また、等級5が最低水準となる時代を見越し、差別化を図るうえで等級6、7の取り組みが必要となっている。現在のアルミ樹脂複合窓の性能では等級6には対応できず、必然的にさらなる高性能窓へのシフトが進んでいくとみられる。
日本サッシ協会の「住宅用建材使用状況調査」によると、2021年度の窓の材質別構成比はアルミ樹脂複合窓が65.6%、樹脂サッシが25.9%、アルミサッシが8.5%となっている。高断熱窓の普及が進んでいることは言うまでもないが、前年比では、樹脂窓が前年度比3.6ポイント増と継続して伸びる一方で、アルミ樹脂複合窓は前年度比1.9ポイント減とわずかに勢いを落としており、ボリュームゾーンであったアルミ樹脂複合窓からさらに性能の高い樹脂窓へとシェアが変わり始めている。窓市場に変革の時が訪れているといえそうだ。
こうした動きにどう対応していくか。メーカー各社の動向を追ってみた。
[エクセルシャノン]勢い増す樹脂窓市場 断熱性能と景観性の両立が肝
樹脂サッシ専業メーカーのエクセルシャノンは、トリプルガラス仕様を主軸に置いて展開する。
エクセルシャノンはトリプルガラス仕様の製品が総出荷数の6割を占める。以前から断熱に対する意識の高い事業者からの採用が多かったが、国の施策により、目指す断熱のレベルを断熱等性能等級6、7に引き上げる事業者が増えた。こうしたなかで引き続き高断熱住宅に取り組むビルダーに対して、断熱材との組み合わせや、どの方位に窓をつけるかなどの提案を含め個々で対応していくとする。
一方で、最近ではこれまで低価格な住宅を扱ってきた事業者からの問い合わせが徐々に増えてきているといい、全体的にみても、求められる住宅の断熱レベルが底上げされていることがうかがえる。
資材の高騰は懸念材料だが、長期的にみれば高断熱の樹脂窓を使うことで光熱費の削減につながるほか、カーボンニュートラル社会への貢献などを訴求する。
今後のプロモーション施策として、定期的な展示会の開催を予定する。2021年の5月~7月に展示会を仙台から福岡までの主要都市9会場で行い、自社製品の認知度向上に努めた。展示会での調査は、サッシフレームの内部にウレタンを充填した「UFシリーズ」の本州での需要の高さなど新たな発見もあったという。「UFシリーズ」は主に北海道をターゲットとして発売してきたが、防露性能の高さから、そのほかの地域においても高い評価を得たとしており、新たな需要の掘り起こしとブランド力アップを図っていく。
[三協立山]高断熱窓サッシのインシェア80%へ アルミ樹脂複合サッシのモデルチェンジも検討
三協立山は、アルミ樹脂複合サッシの「ALGEO」、樹脂サッシの「スマージュⅡ」、「トリプルスマージュⅡ」、北海道エリア限定の「アルペンⅡs」、「トリプルアルペンⅡx」を展開する。着工戸数の低迷や資材高騰を受け、足元の売り上げの伸びは鈍化しているが、断熱等性能等級における上位等級の新設や、脱炭素への国の動きから高断熱サッシの比率はより高まっていくと見込んでおり、2025年の樹脂サッシ、アルミ樹脂複合サッシのインシェア80%を目指す。
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