林野庁 森林・林業白書:グリーン成長実現に向けた国産材の需要開発 非住宅分野の活用が拡大、輸出の取り組みも加速
白書を読み解く(前編)
国産材活用が急速に進む。住宅分野は言うまでもなく、非住宅も急速に採用が広がりつつある。その一方で、木材輸出への注力も始まり、木材の需要開発が積極的に進められている。林野庁の森林・林業白書は、そんな現状を明らかにしている。
令和3年6月に閣議決定された新たな「森林・林業計画」では、再造林などで森林の適正な管理を行いながら、森林資源の持続的な利用を一層推進して引き続き林業・木材産業の成長産業化に取り組むことで、社会経済生活の向上とカーボンニュートラルに寄与する「グリーン成長」を実現していくこととした。
国内で生産された製材の約8割が住宅の構造材や下地材などの建築用として使われており、合板は住宅などの構造材、フロア台板などに使用されている。国産材の仕向け先として住宅分野は非常に重要な市場だ。
その住宅市場においては、品質・性能、長寿命化などのニーズの変化を背景に、住宅で用いられる木材製品について、より一層の寸法安定性、強度などの品質・性能を求めるニーズが高まっており、その結果、建築用製材では寸法安定性の高い人工乾燥材の割合が増加、さらに木造軸組構法の住宅では柱材、横架材で寸法安定性の高い集成材の割合が高まっている。
国産材の利用をさらに拡大していくためには、国産材を原料とした木材製品の安定供給がより一層求められている。
一方、国産材活用の新たな市場として期待が集まるのが非住宅・中高層建築物だ。
平成22年に「公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律」が施行されて以降、公共建築物の木造化が進み、令和2年度は13・9%にまで高まった。一方で、民間においても非住宅分野で取り組む例が出てきており、特に低層非住宅建築物で床面積の小さなものは、既存の住宅建築の技術がそのまま使える場合があることなどから木造化率が比較的高い傾向にあり、店舗や事務所などのさまざまな建築物が木造で建築されている。一方、中高層建築物についても木造で建築する取り組みが始まり、また、オフィスや店舗などで内装・家具を木質化する動きも始まっている。
非住宅・中高層建築物についても、住宅と同様に乾燥材が求められ、構造安全性の面から強度など品質・性能が求められる。
木材輸出額は33%増
海外での在来軸組の普及も
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