2022.9.9

(一社)日本建材・住宅設備産業協会、各委員会がトピックスを報告

国際標準化へIoT住宅の安全規格などを整備

(一社)日本建材・住宅設備産業協会は「2022年度 第1回 情報交換会」を開催した。標準化委員会では、「IoT住宅の安全規格の国際標準化」の現状と、今後の動向について報告した。

同協会では、2022年度重点課題として、①グリーン建材・設備製品に関する国際標準化事業、②「人とIoT住宅との協調安全」の国際標準化、③リフォーム推進事業、④情報提供事業、⑤ZEH、断熱材の普及促進事業、⑥品質・環境事業、⑦新たな業界ニーズへの対応、を設定しており、運営委員会を構成する下部6委員会が、これらに資するトピックスを報告した。

標準化委員会が報告したのが「IoT住宅の安全規格の国際標準化について」だ。同委員会ではIoT住宅の安全に関する国際標準化活動を行っており、昨年までに「機能安全規格」(IEC63168)、「SOTIF(Safety of the intended functionalityの略:意図した機能の安全性)規格」(IEC63420)の2規格を開発。国際電気標準会議(IEC)に提案をし、現在、国際議論を進めている。機能安全規格は機器のシステム故障に対する安全性能、SOTIF規格はユーザーの誤使用、誤操作、製品の性能限界に対する安全性能のことだ。

そのような中、今年度から「協調安全」という新たな安全の概念を、人とIoT住宅に適応させる新たな安全規格として、経済産業省の標準化事業に提案し、事業を開始した。協調安全とは、主に生産現場で導入されている考え方で、人と機械と環境が互いの情報を協調させて安全を確保する考え方を指す。製品や機能の販売者が有するビッグデータの分析と、居住者の住環境やバイタル、行動傾向などから居住者の行動を予測し、それらのデータを協調することで、居住者に合わせた複数サービスのきめ細やかな運用と適切な安全性の確保を図ることが期待できる。

開発の背景には、コロナウイルスの影響がある。在宅勤務の普及により、住宅が生産拠点になりつつある現在、居住空間にも生産現場で適用されている安全マネジメントが必要になってきているため、協調安全を住宅にも反映させて安全を確保する必要があるという。

具体例としてエアコンを挙げると、真夏の夜間に電気回路の異常により、エアコンが停止した場合、火災の防止という製品の機能安全の観点で見れば、これは正常な動作である。しかし、これは同時に熱中症のリスクが高まることにもなる。この時に、寝ている人を起こしたり、換気システム、代替冷房機器を自動で稼働させたり、別の誰かに危険を知らせるなど、人に通知する機能があれば居住者の安全性を確保することができる。

標準化委員会IoT住宅推進部長の歳川幸一郎氏は「こうした機能を拡充することで、より安全なものを確立していきたい」と述べる。

機能安全規格は2023年~24年、SOTIF規格は2024年~25年に国際標準化予定で、協調安全規格は2024年にIECに提案予定となっている。