潮目変わるウッドショック
輸入材の在庫量増加、価格も下落局面に
2021年3月頃から、コロナ禍に端を発し、国内外の木材の需給バランスが崩れ外材が高騰、不足するウッドショックの影響が続いてきたが、ここにきて潮目が変わりつつある。2022年に入り、東京木材埠頭の輸入材の在庫量が大幅な増加傾向にある。また、すでに国内の木材商社、プレカット工場は、十分な量の在庫を抱えており、さらに、足元の新設住宅着工も、特に持家が伸び悩む中で、木材を買い控える動きが目立つ。木材業界の関係者は、「木材価格は下落局面に入り、緊張感が漂い始めている」と話す。
東京木材埠頭に大量の輸入材在庫
6月末で19万㎥超に
日本の木材自給率は約4割で、6割以上を輸入材に頼っている。特に近年、製品として入ってくる輸入材が増えてきたが、ウッドショックにより、この製品として入ってくる輸入材が減少し、需要を満たせない状況が続いてきた。
一方で、2022年に入り、木材製品の輸入は前年比で大幅に増加している。1月~5月累計の品目別木材輸入量の推移を見ると、製材は前年同期比25%増の226万7000㎥、集成材は同32%増の47万7000㎥となった。
EUからの製材輸入品は21年比で36%増、20年比で15%増。集成材輸入は21年比で30%増、20年比で7%増。ロシアからの製材品輸入は21年比で36%増となっている。
2022年に入り、東京木材埠頭の製材在庫量も大幅な増加傾向にある。日本最大級の木材物流基地である東京木材埠頭の「製材品在庫」は、日本木材輸入協会が作成したデータによると、2020年後半の半年間で約14万㎥あった在庫は、2021年1月に約5万㎥まで急激に在庫が減少。その後、コロナ禍の中で、在宅ニーズの高まりもあり、住宅着工数は好調に推移したが、木材の供給制約が深刻化し、いわゆるウッドショックの影響が続いてきた。ところが、2021年2月を底に、在庫量は増加傾向で推移し、2022年1月には、適正在庫水準と言われる12万㎥を突破し、6月末時点で19万㎥を超えた。木材業界関係者によると、東京木材埠頭だけでなく、関西や九州なども含めて、全国的に港では、在庫過剰な状況にあるという。
なぜここにきて、木材製品の輸入量が増加し、港の在庫もだぶつき始めているのか。木材商社もプレカット工場も、昨年からウッドショックで木材が不足して大変な目に合ってきた。さらに2022年2月には、ロシアのウクライナ侵攻により、さらにウッドショックが深刻化するのではないかという不安感が広がるなかで、積極的に木材を買おうとする傾向が強まったことが理由の一つとしてあげられる。
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