住友不動産、住宅改修の脱炭素効果を定量化
建替比でCO2排出量47%削減
既存戸建住宅の改修時のCO2削減効果を可視化する共同研究を東京大学などと実施。資材投入量などを詳細に測定し、建て替えに比べて47%のCO2排出量削減効果があることが判明した。
同社は、既存戸建住宅を対象としたリフォーム事業「新築そっくりさん」を展開し、部分リフォームからまるごとリフォーム(全面改修)まで幅広い施工実績を有する。同社に対して、東京大学大学院・武蔵野大学から、既存戸建住宅の改修における環境評価手法の確立を目的とした研究への協力要請があり、2021年12月から共同研究を開始した。
東京大学大学院新領域創成科学研究科の清家剛教授は、「新築住宅については、環境評価手法が一般化されているが、既存住宅の改修については調査の難しさもあり、同様の手法は現在確立されていない。建築再生手法は資源循環性を向上させ、脱炭素に貢献しうるポテンシャルを秘めている。脱炭素化を進めていく上では、新築住宅の省エネ性能の向上と共に、約5000万といわれる既存住宅の改修を進めていくことも重要になる。改修における環境寄与の評価手法の確立により、ストック改修の後押しになることを期待している」と述べた。
今回、「新築そっくりさん」で、一般的な全面改修工事により、耐震性・断熱性など建物性能が大きく向上した築46年の木造軸組み工法の住宅(延床面積約143㎡)をサンプルに共同研究を実施。3Dモデリングなどデジタル技術を活用して既存戸建住宅の改修前・改修中の既存部材の再活用量を把握するとともに、発注書などで改修時資材投入量を把握し、建物LCA評価を実施した。その結果、同様の建物を建替えた場合に比べ、基礎・躯体などの再活用により資材投入量などが大幅に削減され、CO2排出量が47%削減されることがわかった。今回の実地調査で得られたデータを整理し、改修データベースを構築することで、既存戸建住宅の改修における廃棄物発生・新規資材投入の抑制とそれに伴う生産・運搬などに要するエネルギーの削減効果などを一般化していく。今後、1棟ごとに詳細な調査を行わずとも、一定の精度でCO2排出量削減を可視化、定量化できる評価システムの構築を目指す。
さらに共同研究を進め、約2年をかけて、改修時だけでなく、長期的に見てCO2削減効果が見込まれるか検証するため、第2フェーズでは既存戸建住宅の改修による長寿命化効果の検証を行い、第3フェーズでは既存戸建住宅の改修による省エネ・創エネ設備の導入効果を検証。既存戸建住宅における環境評価手法(改修版)の確立を目指す。
同社の加藤宏史 取締役・新築そっくりさん事業本部長は、「『新築そっくりさん』の提供開始から23年で15万棟以上の実績がある。これまで定性的にしか環境貢献の効果を説明できなかったが、環境評価手法の確立によりCO2削減効果を定量的に説明できるようになる。顧客に訴求し、事業拡大につなげていきたい」と述べた。
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