竹を次世代素材へ セルロースナノファイバー開発で活用可能性が広がる
大分大学 理工学部 共創理工学科 応用科学コース 准教授 衣本太郎 氏
竹は常緑性の多年生植物で、木に比べて成長速度が非常に速く、わずか3年ほどで竹材としての利用が可能になる。しかし、加工や接合が難しいという特性ゆえに、建材には不適と長年考えられてきた。そのような竹の新たな可能性について、大分大学の衣本太郎准教授に話を聞いた。
──竹製のセルロースナノファイバー(CNF)を開発されましたが、その背景を教えてください。

共創理工学科
応用科学コース 准教授
衣本太郎 氏
私の研究室では、簡単で安価な薬品を使い、安全・きれい、長くて強い竹由来のCNFを作る独自技術「大分大学プロセス」を確立し、「CELEENA®」という竹製CNFを開発しました。
竹は西日本に多く、他にも静岡や千葉など温暖な気候の地域に多く生えており、驚異的な成長力を持ちます。それゆえ、数が多くなりすぎる傾向にあり、森林環境を一様化させてしまうほか、下草など他の植物の日照不足を招き、痩地や生態系の変容などの原因にもなると言われています。また、生活道路や電線にはみ出すなど、地域の人々の住みづらさにも直結しており、伐採をしているところもありますが、地方では過疎化や高齢化の影響も相まって、それも難しい現状があります。
こうした竹害は、SDGsの掲げる「11.住み続けられるまちづくりを」、「15.陸の豊かさも守ろう」のテーマにも関係する問題であり、抑制していくには竹を切って活用していく必要があると考えました。そこで行き着いたのがCNFです。竹を大量に消費するには、バイオマス燃料にしてしまうのが一番早いのかもしれません。しかし、竹は木に比べて燃え尽きづらい金属成分が多く、それが「クリンカ」と呼ばれる灰として残ります。さらに、研究を開始した当時、FIT(固定価格買取制度)がありましたが、竹の買取価格は木質バイオマスよりも低く設定されており、ビジネスとして成立しづらかったこともあります。
こうした理由から、素材として活用できるCNF化に着手しました。竹は古来から日用品として親しまれてきましたが、近年はプラスチック製品などの代替品の普及で、次第に需要が減退しています。竹の需要を喚起させることで、先述の環境や社会問題の抑制、雇用の創出など、地域の活性化にも繋げたいと考えています。
「竹を調理する」独自技術で開発
サッシなど住宅分野での活用も
──竹製CNFを開発するうえで何がポイントになりましたか。また、その特徴は何でしょうか。
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