壁紙、ブラインドなど 壁から考える住まいの環境改善計画
近年、デザインや意匠性だけでなく、機能性も考慮してインテリア建材を選択しようという機運が高まっている。こうしたなかで、インテリアの中でも壁を構成する重要な要素である壁紙やブラインドなどでも、住環境の改善に貢献する機能性を備えた商品の発売が相次いでいる。
立川ブラインド工業
ハニカムスクリーンで温熱環境を改善
部屋に入る光量調整機能も
立川ブラインド工業では、2018年にハニカムスクリーン「ブレア」を市場投入している。蜂の巣状のハニカム構造の生地がつくりだす空気層により、窓辺の断熱性能を高め、冷暖房効率の向上に貢献する商品だ。生地の内部を昇降コードが通るため、コード穴からの光漏れがなく意匠性にも優れている。
2022年5月には、ハニカムスクリーン「ブレア ペア」を新たに発売。ハニカム生地とプリーツ生地(レース)を上下に組み合わせた商品で、上下の生地の分量を調整することで、部屋に入る光の量を調整できる。
昼間はレースで光を採り入れ、夜はドレープで外からの視線を遮る。これによって、プライバシーの確保と断熱性能の向上を両立する。
同社では、プリーツスクリーン「ペルレ ダブル」も2022年5月に発売している。25㎜幅にプリーツしたドレープ生地とレース生地を前後に配置した二重構造のスクリーンだ。2枚の生地の間にできた空気層が断熱効果を発揮し、ハニカムスクリーンと同様に温熱環境改善に貢献する。
同社の資料によると、メライト遮光という遮光性に優れた生地を採用した「ブレア ペア」の場合、5㎜厚の単板ガラスの開口部に設置すると、断熱性能が約61%もアップするという。12㎜厚の複層ガラスであれば断熱性能が約49%高まる。
標準的な生地を採用した「ペルレ ダブル」の場合、5㎜の単板ガラスの開口部に設置すると、断熱性能が約48%高まり、12㎜の複層ガラスであれば約37%アップするという。
トーソー
ミラー効果で遮熱性能を高めるシアースクリーン
トーソーは、2022年6月にプリーツスクリーンの新製品を発売した。和紙調スクリーン「彩葉」は、光が差し込んだ時に広がる濃淡のある柄が特徴の和紙調スクリーン。畳との相性を考慮し、定番のグリーン系だけでなく、人気のグレー色まで幅広いカラーラインアップを揃えている。
同じく新発売したシアースクリーン「スズカ」は、生地の裏面に光沢のある糸を使用し、太陽光を反射させることで外から見えにくい「ミラー効果」をもったシアースクリーンだ。
複層ガラスと組み合わせることで、日射熱の63%をカットすることができ、夏場の日射対策として効果を発揮する。
省エネ効果に優れたハニカムスクリーン「シェラ」には、トレンドカラーであるグレー色を追加した。「シェラ」は、窓枠とスクリーンの隙間を無くす「サイドレール」を採用することで、窓周辺の断熱性能をより高めることができる。
なお同社では、新たに「プリーツスクリーン透過度シミュレーション」というツールをWeb上に公開している。プリーツスクリーンの透過度を実際の動画を使い確認できるもので、設置前後のイメージのギャップを埋めることができる。あわせてプリーツスクリーンWebカラーシミュレーションも公開している。同社では、外付けのロールスクリーン「マイテックアウター」なども含めて、窓回り商品の機能性をさらに訴求していきたい考えだ。
リリカラ
抗ウイルス壁紙が好調 適材適所で壁に機能性を付与
リリカラでは、2022年5月に「ライト 2022-2025」という新しい壁紙見本帳を発行し、ここに収録された商品の販売を開始した。
「心地よく暮らそう」をテーマに、居心地の良さ、癒し、豊かさを表現したラインアップを取り揃えた。新たな取り組みとして、「+1(プラスワン)」も発売。5つのキーワードをもとに発想した壁紙で、それぞれ異なる担当者が企画し、「+BOTANICAL」、「+nostalgic」、「+SCENERY」、「+Essence」、「+nuance」というキーワードを壁紙として具現化している。
下地の凹凸が目立ちづらいリフォームに最適な壁紙や、不燃商品でありながら厚みがあり、きれいに仕上がる「シアガリキレイ」なども発売している。
機能性という点では、好評を得ている抗ウイルス壁紙「ウイルスアーマー」も品揃えしている。壁紙表面には抗ウイルス剤コーティング層があり、壁紙に付着したウイルスに反応する。ウイルス表層のタンパク質を変質させる効果があり、ウイルスを不活化し減少させていく。抗ウイルス加工と抗菌加工のSIAA認証も取得している。
同社では2020年8月に抗ウイルス壁紙を発売したが、その売上は約1.5倍の伸びを見せているという。
同社では、抗ウイルス壁紙以外にも、消臭と汚れ防止の2つの機能を付与した壁紙「ダブルクリーン」なども販売している。表面に消臭剤入りのポリプロピレンフィルムをラミネートすることで、悪臭の消臭と汚れが浸透しにくく落としやすいという効果を同時に発揮するものだ。
建物や空間の用途などに応じて、こうした機能性壁紙を使い分けることで、室内の空気質環境や衛生環境を改善することができるだけに、今後は意匠性だけでなく、壁紙の機能面にも着目して、適材適所の使い分けをすることが求められそうだ。
壁紙やスクリーンなどの窓回り商品が様々な機能性を持ち始めたことで、住宅の「壁」の役割が増えてきている。〝機能する壁〟が住環境の改善を検討するうえで見逃せない存在になりそうだ。
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