[上士幌町]畜産バイオマス発電でエネルギー地産地消のまちづくり

大規模PV導入なども推進  町全体の民生電力で脱炭素化

 

北海道上士幌町は、畜産業が盛んである地域の特性を生かし、家畜のふん尿を利用したバイオガスプラントを整備し、再生可能エネルギー生産に取り組んできた。また、地域の電力小売事業者、かみしほろ電力が中心となり、電力の地産地消の事業スキームを実現。町内の公共施設や一般家庭に電力を供給する。こうしたすでに実績のある取り組みをベースに、さらに、公共施設を活用した大規模太陽光発電の導入、一般家庭向け卒FIT電源からの再エネ供給などにより、町全体の民生電力の脱炭素化を図る。


上士幌町では、かねてより畜産バイオマスを核とした資源循環・エネルギー地産地消のまちづくりを進めてきた。こうした実績が、脱炭素先行地域の選定において高く評価された。今回、同町が提案した計画案においても、民生部門電力の脱炭素化に向けベースとなるのは、畜産バイオガス発電を核に、かみしほろ電力が中心となり推進する電力の地産地消の取り組みだ。

家畜のふん尿を利用したバイオガスプラント(画像提供:上士幌町)

上士幌町は、北海道十勝地方の北部、日本一広い国立公園である大雪山国立公園の東山麓に位置する。酪農・畜産業が盛んな地域であり、人口約5000人に対して、約4万頭以上の牛が飼育されている。一方で、酪農・畜産業の拡大により、家畜のふん尿の量も増大。新たな対策が必要となっていた。そこで、2014年から上士幌農協、農家、上士幌町などが連携し、家畜のふん尿処理の過程で発生するメタンガスを利用したバイオガス発電を行う、バイオガスプラントの導入の検討を開始。2017年に「再生可能エネルギー地産地消のまちづくりコンソーシアム」を立ち上げ、北海道の補助事業を受けて、畜産バイオマスを活用したモデル構築を推進。現在、町内には7基のバイオガスプラントが整備され、バイオガス発電を行っている。

さらに、畜産バイオガス発電だけにとどまらず、地域で生まれた電気の地域内利用を促進するため、需要家への電力供給拡大を図る取り組みも推進。2018年5月、同町などが出資者となり、「karch」という地域の観光地域商社が設立された。「karch」の一事業として「かみしほろ電力」を立ち上げ、地域振興の一環として電力小売り事業にも進出。2018年8月、電力小売事業者登録が完了し、地域の電力供給に向けた取り組みを展開する。


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