アカマツ曲がり材を活かす 長野県の大工と林業事業体が連携

利用期を迎える国産材を活用して林業の成長産業化に導くにはどのような取り組みが求められているのか。林材ライターの赤堀楠雄氏が地域で芽生える国産材活用の事例をルポする。

松くい虫被害でアカマツが激減

かつてアカマツはスギやヒノキに並ぶ主要な建築用材のひとつで、梁桁や床板、タルキなどの下地用材として利用されていた。国産針葉樹の中ではもっとも強度が高いことから特に梁材として多用され、曲がりのある材も丸太梁やタイコ梁としてよく使われた。

ところが、1905年に長崎県で初めて確認され、その後、各地に広がった松くい虫の被害により、各地でアカマツが大量に枯死し(クロマツも同じく被害を受けた)、アカマツ林業は壊滅的な状況に陥ってしまった。松くい虫の被害は1970年代後半に激甚化し、ピークの79年には243万㎥もの被害が発生した。

被害量自体は80年代に入ると徐々に減少傾向となり、2020、21年度の被害量はいずれも30万㎥とピーク時の8分の1程度にまで縮小しているが、被害は北海道以外のすべての都府県で確認されており、長期にわたる被害でアカマツの資源量・生産量は激減している。1960年代初めには1000万㎥/年を超えていた素材生産量(クロマツを含む)は現在、60万㎥/年程度にまで減少してしまった。スギの生産量が1000万㎥/年を超え、ヒノキとカラマツがいずれも200万㎥/年程度、北海道のエゾマツ・トドマツも100万㎥/年程度が生産されているのに比べるとアカマツの生産量はいかにも少なく、林業樹種としての地位低下は著しい。


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