木造3団体が東京都に申し入れ
東京ゼロエミ住宅の〝木造不利〟の見直しを
2×4協、木住協、JBNの木造3団体が東京ゼロエミ住宅の基準について申し入れを行った。木造と木造以外で基準値に差があることの是正を求めた。
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(一社)日本ツーバイフォー建築協会、(一社)日本木造住宅産業協会、(一社)JBN・全国工務店協会の木造3団体が『「東京ゼロエミ住宅」基準多段階化の運用について(申し入れ)』を小池百合子・東京都都知事に提出した。「東京ゼロエミ住宅」は、東京都が断熱性能や設備の省エネ性能などについての基準を独自に定めた住宅のこと。認証を受けた住宅は助成金とともに、不動産取得税の減免を受けることができる。
2022年度、都はこの認証制度を大きく見直し、3つの性能水準による「基準の多段階化」を行った。
求められる性能は別表の通りであり、外皮平均熱貫流率(UA値)は木造以外の構造について、省エネ基準からの削減率は木造以外の構造の集合住宅などについて、木造が求められる性能以下に設定されている。
木造と木造以外の構造、また、木造と木造以外の構造の集合住宅等で要求性能に差をつけたのは「RCなどは断熱面で不利であり、中小の工務店では対応が難しい」(地球環境エネルギー部環境都市づくり課)ためだという。
木造3団体は、2つの点でこの新たな基準を問題視した。
一つが木造と木造以外でダブルスタンダードとなっている点。同じ水準3で認証を受けた住宅であるにもかかわらず、木造以外の住宅は木造よりも性能が劣るものになるということだ。また、結果的に同じ性能であっても助成金に差が出ることになる。例えば、UA値0・6のZEHレベルの戸建住宅の場合、木造が50万円であるのに対し、木造以外は210万円と160万円もの差が出る。
もう一つが木造への〝逆インセンティブ〟になるという懸念だ。カーボンニュートラルの実現を目指し、省エネ性向上や再エネ拡大と並んで進められているのが木材の活用拡大である。こうしたなかで木造と木造以外を異なる性能値とすることは、「結果として木造利用の妨げになるのではないか」(日本ツーバイフォー建築協会・加藤邦彦専務理事)という危惧がある。
2022年度、助成金制度に前年度の約2.5倍の108億円という予算を割いてその普及に力を入れる。約1万5000戸を超える住戸への助成を見込んでおり、これは都の新設住宅着工戸数の約3分の1に該当する。東京都の住宅の省エネ化推進に大きなインパクトが期待される。木造3団体は「一刻も早く、年度途中でも修正を判断いただきたい」と強く求めている。
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