目に青葉、“道”との遭遇を/情報に溢れる電車内
目に青葉、“道”との遭遇を
新型コロナパンデミックのマスク生活もさすが3年目となると人間の本能が言うことをきかなくなるのだろう。街に人が戻ってきている。学校や企業もオンライン一辺倒の制約を解きはじめリアルに動きつつある。子どもやフレッシュマンたちが群れる姿や笑い声が妙に微笑ましく、新鮮に感じられたりする。街の華やかな光景がまぶしい。
元来、歩くことが好きだが、コロナ禍のステイホームの縛りを少しでも逃れようと意識して外に出る機会をふやしている。
家の周りもそうだが、都心の街の変ぼうぶりは驚くばかりだ。5年、10年前のイメージはもう殆んどない。まったく見知らぬ街に姿を変え、東京生れの東京育ちがいまやまったくの“お上りさん”で、キョロ、キョロするばかり。まさに“路頭に迷う”だ。街路にテーブルが並び、若者たちが集うおしゃれなカフェはかつてパリやミラノなどで見た憧れの風景だ。ずいぶん前に、梅棹忠夫氏らの「知的生産の技術」がベストセラーになるなど“知的”という言葉が流行した。知的人間、知的生活、知的空間、知的美人、知的探検など、何でもかんでも“知的”を頭にくっつけた表現があふれた。とても知的とは思えない知的に苦笑いしたこともある。ただ、今だってこの言葉、決して廃れてはいない。“知的遊び”がそうだ。囲碁、将棋の古典的なものはもとより今はスマホでの多種多様なゲームやeスポーツなども知的遊びだろう。
そして加えてまちなか探検も十分に知的遊びだと思うのだ。ビルの谷間に墓地や神社や道祖神がポツンとあったり、その由縁やいわれを考えたり、調べたり、とこれは間違いなく知的遊びと言っていい。目、耳、鼻、口、手の五感を総動員して歩き回わる。大通り、裏通り、路地などたくさんの“道”との遭遇によって“未知”の刺激、面白さが味わえるのが嬉しい。
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