東京ゼロエミ住宅に水準2、3を創設

最大補助金210万円からと手厚い支援で普及を加速

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東京都は東京ゼロエミ住宅の基準を改正、水準1〜3の多段階化するとともに、助成制度も性能に応じた設定とした。これらの取組みにより、さらに高い省エネ性能を持つ住宅の普及を促進する。


2022年、東京都は「東京ゼロエミ住宅」の認証制度を改正、助成制度に予算108億円を割くなど、その普及にさらに力を入れる。

東京ゼロエミ住宅は、躯体の断熱を高め、省エネ性能の高い照明やエアコンなどの設備を導入した住宅を認証する東京都独自の制度。住宅の省エネ性能を高めることに加え、高断熱化による快適な暮らし、部屋間の温度差が小さいことから健康的な暮らしにもつながる。

これまで東京ゼロエミ住宅の基準では、木造住宅では外皮平均熱貫流率0.7以下、設備機器に関する省エネ性能(再エネ除く。以下同じ。)BEI0.7相当を求めていたが、今回、これを「水準1」として、新たに「水準2」、「水準3」を新設した。水準2はZEH相当の断熱性能である同0.60、省エネ性能BEI0.65を、水準3は北海道相当の断熱性能である同0.46、省エネ性能BEI0.6を求める。

いずれの水準においても、開口部については熱貫流率2.33W/㎡・K以下の窓、同3.49以下のドアを求める。設備については全館LED、省エネ基準達成率が114%以上のルームエアコン1台以上などの基準をクリアしたうえで、先の水準ごとの性能に適合することを求める。また、太陽光発電などの再エネ設備は、容量を問わず可能な限り設置することが望ましいとしている。

東京都は「2030年までに、温室効果ガス排出量を2000年比で50%削減」という“カーボンハーフ”を打ち出し、その取組を加速させている。東京ゼロエミ住宅はその一環。2019年度の制度スタート時から一次エネルギー消費量の削減率30%程度と高い基準を設定した。今回、基準を多段階化して水準2、3を設定、さらに高い性能へと誘導する(図1)。「カーボンハーフを見据え、新築住宅においては是非、水準2以上を達成していただきたいと考えている」(東京都)としている。

2022年度の助成予算108億円
水準2、3で不動産取得税5割減も

東京ゼロエミ住宅の普及を図るため、都は建設費を助成する「東京ゼロエミ住宅導入促進事業」を進めてきた。2022年度も引き続き実施するが、基準の多段階化にともなって水準に応じた助成金額設定とした。2021年度は補正予算をあわせ約43億円の予算であったが、2022年度は108億円と大幅に拡充、普及促進を加速させる。都では約1万5千戸を超える住戸への助成を見込んでいるが、これは都の新設住宅着工戸数の約3分の1に該当するかなり大きな規模だ。

戸建住宅の助成金額は水準1が30万円/戸、水準2が50万円/戸、水準3が210万円。太陽光発電が上限36万円/棟、蓄電池システムが上限60万円/戸といった追加補助もある(図2)。特例措置として4月1日以降に着工する物件については当面の間、交付申請・受付通知を事後に申請することで助成の対象となるという。また、前年度中に東京ゼロエミ住宅の設計確認が済んでいる場合であっても、これを取り下げて2022年度に再申請することができる。

また、「太陽光パネル付きゼロエミ住宅導入促進税制」も用意。これは2025年3月31日までに設計確認申請が行われた東京ゼロエミ住宅で、太陽光発電システムを設置しているもの、または水準2もしくは水準3の基準を満たす住宅の不動産取得税を5割減免するというもの。両方の条件を満たしていれば10割減免される(図3)。

一方、国の補助制度との併用については、現在、詳細の制度設計の最中であり未定だが、2021年度は「地域型住宅グリーン化事業」、「グリーン住宅ポイント」、「こども未来住宅支援事業」は併用が可能だった。

これらを合わせれば非常に手厚い支援を受けることができる、住宅需要者にとって非常に魅力的な制度であるといえる。

省エネ計算サービスでは相談から完了検査までを支援

水準2、水準3となると詳細な省エネ計算が必要となり、ハードルが高い住宅事業者もいよう。こうした場合に役立つのが省エネ計算などの代行サービスだ。

例えば、エヌ・シー・エヌでは、より健康、快適で省エネ性の高い住宅づくりに取り組もうという住宅事業者を支援する「省エネルギー計算サービス」を提供している。

具体的には、自社の住宅が補助の対象となるかどうかといった断熱設備の仕様相談、詳細な標準計算ルートを使った省エネ計算と判定、また、東京ゼロエミ住宅の設計確認や完了検査までをサポートする。それぞれ個別相談にも対応するが、すべてを依頼した場合の値段は20万円となっている。

また、同社では東京都のビジョンに共感し、東京ゼロエミ住宅の普及促進を後押ししようと毎月勉強会を開催するほか、東京都の担当者を招いての「東京ゼロエミ住宅の説明会」を開催、その模様をYouTubeで公開している。都の担当者から、直接、詳細の基準やスケジュールなど具体的な説明を聞くことができる貴重な動画となっている。

エヌ・シー・エヌは「東京ゼロエミ住宅の説明会」をYouTubeで公開中

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