戦時歌謡の“隣組”/恐いコロナ慣れ生活
戦時歌謡の“隣組”
新型コロナ感染で亡くなったコメディアン志村けんさんを悼む声は今も強いが、所属するザ・ドリフターズの人気バラエティーTV番組「ドリフ大爆笑」での、ド・ド・ドリフの大爆笑―で始まるオープニングのテーマ曲を口ずさめる中高年も多いはずだ。だが、この曲の元歌・原曲が第2次世界大戦時の戦時歌謡“隣組”の替え歌であることを知る人となるとどうだろう。歌詞が今の時代へのメッセージのようにも思えるのだ。
♬一.とんとん とんからりと 隣組 格子を開ければ 顔馴染み 廻してちょうだい 回覧板 知らせられたり 知らせたり
二.とんとん とんからりと 隣組 あれこれ面倒 味噌醤油 御飯の炊き方 垣根越し 教えられたり 教えたり♬
「とんとん」は戸をたたく音、「とんからり」は格子戸を開ける音だ。わざわざ玄関からじゃなくて窓を開けて戸をたたいてお隣りさんを呼び、町内会の回覧板を手渡す、という光景だ。そして何より垣根越しで味噌や醤油の貸し借りやご飯の炊き方まで聞いたり、教えたりの仲の良い近所づき合いの様子もうかがえる。戦時歌謡ならではの地域住民の相互扶助を奨励した歌とみるむきもあろうが、軽快なメロディ、リズムに詞をかぶせるとやはり隣近所の仲の良さ、優しさに笑みがこぼれるのだ。
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