2022.3.1

兼松サステックと住林、外装を木質化できる新材料を開発

多様なデザインの設計が可能 合板利用拡大に寄与

兼松サステックと住友林業は協業して、外装を木質化できる新材料を開発した。


兼松サステックと住友林業は、構造用合板に「耐久性と耐候性」をプラスし外部での利用を可能にした新素材を開発。「穿孔加工合板」(左)と「溝切加工合板」の2タイプを用意

建物の外装部分に木を使うには、耐久性、耐候性の面で大きなハードルがある。このハードルを両社の技術をかけ合わせることでクリアした。

兼松サステックの高耐久処理木材「乾式防腐・防蟻ニッサンクリーンAZN処理木材」では水を一切使わないため、木材がほとんど膨らまず、寸法や形状の変化が少ない。処理後に乾燥させる必要もなく、納品から施工まで工程の大幅な短縮にも寄与する。さらに、接着剤への影響がないため、エンジニアリングウッド、プレカット加工済みの構造材にも対応できる。また、建物の外装として木製のルーバーや、羽目板パネルなどにも採用したいという引き合いが増えている。オフィスビルの外装を羽目板パネルでアクセントとして演出する新築の案件などで採用実績を伸ばす。

住友林業は、外装木質化の分野で「S‐100」を販売する。S‐100は、木の風合いである木目を生かすために、できる限り着色を抑えながらも高耐候性を確保した水性シリコーン系木材保護塗料。木材劣化の大きな原因となる紫外線を散乱させる成分を含み、灰色化を抑制し、シリコーンによる高い撥水性のより木材内部への水の浸入を軽減する。また、低臭性・速乾性の塗料であるため、工場での塗装やメンテナンスにも適している。

構造用合板をベースに、これらの両社の技術を掛け合わせて、より付加価値を高めて外装を木質化できる新材料として「溝切加工合板」、「穿孔加工合板」を開発した。「溝切加工合板」は、表面材としての活用が進んでいない合板に深溝加工を施すことで、羽目板調パネルとして活用できる。小割の羽目板パネルなどを外装に使用するには、施工手間がかかるが、大判の構造用合板を使用することで、施工の簡略化に寄与する。斜め曲線など様々なデザインで溝を加工することで、意匠性を高められる。また、20㎜ピッチで非貫通の孔を施した「穿孔加工合板」もラインアップする。必要箇所の穿孔部に鬼目ナットを設置し、複数個のボルトで固定することが可能。例えば、天井面や壁面に、穿孔加工合板を設置することで、ハンモックをつるす、プランターを掛ける、といったユーザー側の様々なニーズに対応する拡張性を持った材料となっている。両社の開発担当者らは、「新たに開発した『溝切加工合板』、『穿孔加工合板』を、多様なデザインの設計が可能な新材料として市場投入することで、合板の使用用途拡大、さらなる外装木質化市場の拡大を目指していきたい」と話す。