住宅の超高断熱化で気密の重要性が増す 結露対策も含めた取り組みが重要に
(地独)北海道立総合研究機構理事 鈴木大隆氏
官民を挙げ、ZEHよりも高い断熱性能の住宅の普及に向けた環境整備が進められており、断熱とセットで考える必要のある気密対策の重要性がますます増している。こうしたなかで、HEAT20の推進で中心的な役割を果たし、住宅の断熱と気密対策に詳しい、(地独)北海道立総合研究機構の鈴木大隆理事は、結露対策も含めた“真の気密対策”を行うことが重要と指摘する。
真の気密対策はC値と結露対策のセット
——国は住宅性能表示制度の断熱等性能等級において、HEAT20のG2・G3といったZEHより上位の性能を持つ「等級6」「等級7」を創設する予定であり、今後、超高断熱住宅の提案が加速する可能性があります。こうした状況に伴い、気密の重要性は今後どのように変化していくと考えますか。
断熱性能が向上しても気密が取れていなければ、その性能を十分に発揮できないため、今後、気密の重要性はますます増してくるでしょう。ただ、気密性能を計るうえで一般的に用いるC値(相当隙間面積)の数字をいたずらに追い求めることはあまり意味がないと考えます。
C値の数値を高めれば、その分、熱は建物の外へ逃げなくなりますが、それだけでは壁体内結露のリスクが低減されたとはいえません。壁体内結露による構造や断熱材の劣化で最も重要な住宅耐久性能の低下を防ぐには、C値を高めることと、結露対策の両方を行うことを合わせて「気密対策」と考え、取り組んでいく必要があるでしょう。C値の数値競争だけに終始している住宅事業者が多い……。もっと結露対策にも目を向け、取り組みをより強化していく必要があると考えます。
構造に合わせた気密対策が必要
特に木造と鉄骨造で注意
——気密対策は、住宅の構造ごとに考える必要もありますか。
在来木造、鉄骨造、RC造、2×4など、構造の種類ごとに気密対策は異なりますので、それぞれに応じた取り組みが必要になります。しかし、この点を明確に理解しておらず、間違った気密対策を行う住宅事業者が多いのが実情です。
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