ウッドステーション 業界初、完全サイディングプレカットを実現
現場ロスを解消、職人依存から脱却
在来木造の工業化を支援するウッドステーション(WS)は、業界初の完全サイディングプレカットソフト「WSSiding」を開発した。木材のプレカットCADを「WSSiding」で処理し、現場採寸なしでサイディングの加工図・CAMデータを出力できる仕組みを構築した。同社がデータ作成を請け負い、住宅事業者を始め、サイディングメーカー、サイディング施工事業者、流通事業者などに提供する。
同社は大型パネル事業を推進する。大型パネルとは、柱、梁、金物、サッシ、断熱材などを事前に工場で一体化したもの。工場生産によりきわめて高い精度・品質を確保できる。この大型パネル事業の核になるのが大型パネル図作成ソフト「WSPanel」だ。プレカット工場から供給されるプレカットCAD図を読み込み、耐力面材、サッシ、断熱材などを一体化した大型パネルの施工図を作成する。大型パネルによる上棟実績を積み重ねる中で大型パネル施工図の精度を高めてきた。同社の塩地博文社長は、「実践を経て習熟度を増しWSPanelは、狭小地や変形地などに建つ住宅を含め、特殊解にも完璧に対応できるように進化している。その副産物として完全サイディングプレカットソフト『WSSiding』を開発した」と話す。
現在、サイディングの施工は、職人が現場で採寸・割付してサイディングをカットして納めることが主流となっている。一方で、近年、職人が不足する中でサイディングプレカットへの注目度が増している。しかし、一般的なサイディングプレカットでは、意匠図から構造を正確に把握することが難しく、また、サッシの取り付けは現場合わせであるため、現場採寸が必要になる。
対して、「WSSiding」では、プレカットCAD図を高精度に処理することで現場採寸なしで、開口部や耐力面材の位置も含めて、サイディングの加工図・CAM図の作成を可能にした。サイディング製品、サイディング加工機、割付仕様などを初期設定することで、建物の形状に合わせて自動でサイディングを割り付ける機能を付与。また、歩留まりを最適化する機能、梱包・施工順を最適化する機能なども搭載する。現場での騒音、粉塵、カットロス、産廃処理の解消に寄与し、さらに、職人依存からの脱却、商流、納期管理の合理化にもつながる。
同社は、完全サイディングプレカットソフト「WSSiding」の提供ではなく、「WSSiding」で作成したサイディングの加工図・CAMデータを提供し普及拡大を目指す。前述したように、住宅事業者のほか、サイディングメーカー、サイディング加工機メーカー、サイディング施工事業者、流通事業者など、あらゆる事業者と連携し、新しいビジネスモデルを構築していきたい考えだ。住宅1棟あたりのデータ提供の費用は5万円に設定する予定。なお、大型パネルの採用案件以外のデータ提供に対応する。
「サイディング市場は1兆円規模にのぼるが、現場加工によるロスは2割に達し2000億円が捨てられている。完全サイディングプレカットにより、こうした莫大なロスを利益に変えることができる」(塩地社長)。
同社は、2022年3月、静岡県の大型パネル上棟物件で、第1号の完全サイディングプレカットを実施する。また、サイディングの完全プレカットを皮切りに、今後、外装部分の屋根材、雨どい、さらに、内装部分の床、階段材などの完全プレカット化にも挑戦していく考えだ。
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