耐震シミュレーションが不可欠な時代 進化する「wallstat」が木造住宅づくりを変える

地震大国といわれる日本において、住宅の地震対策は欠かすことができない。また、遠くない将来に必ず起こるといわれる南海トラフ地震と首都直下型地震などの巨大地震に備え、住宅には、より高いレベルの耐震性能が求められている。こうした中で近年、存在感を高めているのが、木造住宅の耐震シミュレーションソフト「wallstat(ウォールスタット)」だ。木造住宅を3次元的にモデル化し、過去に起きた地震や想定される巨大地震など様々な地震動のデータを入力することで、木造住宅の地震による揺れを動画で解析し構造プランを強化できる。

wallstatのイメージ

耐震性能の可視化により、エンドユーザーに対しても説得力を持って高耐震住宅の重要性をアピールしやすくなるため、wallstatを活用して、建てる前に住宅を揺らし、壊し、シミュレーションを行い、より耐震性の高い、安全性を高めた住まいを実現し、普及を目指す住宅事業者も増えてきている。

2022年1月には、wallstatのバージョンアップにより、耐震シミュレーション機能が強化された。ユーザーの声を反映し、計算時間を約2分と、従来の10分の1に短縮。より使いやすいものへと進化している。wallstatで耐震シミュレーションをすることがあたり前という時代になっていきそうだ。

併せてwallstatに組み込みシミュレーションできる建材、連携できるソフトウェアも紹介する。

近い将来、高い確率で発生が予想されている大規模地震には、南海トラフ地震、日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震、首都直下地震、中部圏・近畿圏直下地震がある。中でも、関東から九州の広い範囲で強い揺れと高い津波が発生するとされる南海トラフ大地震と、首都中枢機能への影響が懸念される首都直下地震は、今後30年以内に発生する確率が70%と高い数字が予想されている。

また近年、頻発する地震被害は、新耐震基準の住宅・建物でも十分に安全だとは言い切れない事実を突きつける。とくに2016年4月に生じた熊本地震では、新耐震基準以降に建てられた建物が倒壊する被害が生じた。熊本地震では、前震と本震という2つの大きな揺れが発生。激震地の益城町では、新耐震の木造の約16%が大破・倒壊の被害を受けた。このような想定を超える巨大地震が発生した場合、現行の耐震基準ギリギリのレベルで建てられた建物では、全半壊の被害が生じることが浮き彫りとなった。

木造住宅の耐震性能を見える化
従来とは違う次元で解析


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