コンクリート住宅にほれ込み45年 命と財産を守る家を普及
百年住宅 代表取締役 中嶋雄 氏
(一社)日本優良ビルダー普及協会が描く
次世代を勝ち抜く優良ビルダー戦略
(一社)日本優良ビルダー普及協会(JGBA)は、全国のビルダーが一緒に切磋琢磨しながら、共に次世代に向けて歩もうとしている。
JGBAに参画する企業は、どのような戦略により、持続可能なビルダー経営を実践しようとしているのか。
第1回目は百年住宅の中嶋雄社長に聞いた。
百年住宅 代表取締役
中嶋雄 氏
──百年住宅の強みを教えてください。
コンクリート住宅で全国1位のシェアを持ち、グループ全体での年間供給棟数は約260棟にのぼります。1977年に静岡市で創業し、2021年に45周年を迎えました。創業会社を親会社とし、5つの子会社があります。グループ全体で27の展示場、2つの工場があり、社員は約250人の規模になります。
創業者である父は、「住む人の命と財産を守る最強の家造り」という理念を掲げ、コンクリート住宅一本に絞り販売してきました。この理念を掲げた原点は現場にあります。
父は百年住宅を創業する前、設計事務所を立ち上げ、設計士として活動していました。さまざまな建築を学び、数多くの建築現場、解体現場、そして災害現場を見る中で、住宅業界の問題点や矛盾があることに気づきました。新築から20年、30年が経ち、住宅ローンを払い終えるころに耐用年数を迎えてしまう。これでは家を買うために死ぬまで働き続けなければいけない。まさに「住宅貧乏」になってしまうのです。こうした住宅業界のあり方はおかしいと感じていました。
長持ちする住まいとは何か、模索する中で出会ったのがWPC工法の住宅でした。一般のコンクリートとは違う、特殊なコンクリートを用いた鉄筋コンクリートの住宅です。自社工場で製造した、コンクリートパネルを現場に運び、ボルトで組み立てることで、圧倒的な耐久性を誇ります。住宅業界の問題を解決して、人々のお役に立てるのは、WPC工法の住宅を普及することしかないという結論に至ったのです。コンクリート住宅は、長持ちするだけでなく、災害に対して無類の強さを誇ります。地震だけでなく土砂、竜巻、洪水、火災を含めてオールラウンドで災害に強いということを、災害が発生する度確信してきました。また、強い建物を並べれば、災害に強いまちづくりにもつながります。
私は、35歳の時に社長職をバトンタッチされ、12年目になります。私自身も父と同様、現場に足を運び、父の想い、経営理念に深く共感して、コンクリート住宅にほれ込み、コンクリート住宅1本で全くぶれることなくここまでやってきました。コンクリート住宅が普及すれば、日本から住宅貧乏を無くし、さらには災害に強い街づくりにも貢献できます。だからこそ、 WPC工法の家をすすめることがミッションだという想いが日に日に増してきています。
住宅の土俵で戦わない
丈夫な車を探す客に戦車を提案
──御社はコンクリート住宅の販売でトップシェアを誇り、実績を積み重ねています。一方でコンクリート住宅はコストの面で売りにくいという声も聞きますが。
確かに価格は永遠のテーマです。丈夫で長持ちするという価値をしっかりとお伝えし、価格以上のものを提供しているという自負はありますが、そこで止まっていては成長はありません。誰にでも手に届くように開発を進めていくことは、チャレンジをしていかなければいけない課題だと思っています。
コンクリート住宅は、「高いから売れません」、「間取りが不自由だから売れません」など、売れない言い訳をするとたくさん出てきます。
しかしそこで、金額、デザインなど、他社の土俵に巻き込まれて戦うと、百年住宅の良さがどんどん削られて消耗戦になってしまいます。
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