2021.12.14

「デジタル田園都市」実現へ新交付金

デジタルを活用し地域課題を解決、魅力向上

政府は、第一回「デジタル田園都市国家構想実現会議」を開催し、デジタル実装を通じた地方活性化を推進するため、新しい交付金を創設することなどを発表した。デジタル田園都市国家構想は、企業の地方へのオフィス移転、人々の働き方、暮らし方の変革を加速させ、住宅業界にも大きな影響を与えそうだ。

第一回「デジタル田園都市国家構想実現会議」で発言する岸田首相(引用:首相官邸HP)

政府の「新しい資本主義実現会議」は、「緊急提言〜未来を切り拓く『新しい資本主義』とその起動に向けて〜」を発表し最優先で取り組むべき施策を整理した。この中で、最重要の柱として位置付けるのが「デジタル田園都市国家構想」だ。「地方を活性化し、世界とつながる『デジタル田園都市国家構想』の起動」をさせ、過疎化や高齢化といった地方の課題に、テレワーク・ドローン宅配・自動配送など、デジタルの実装を進めることで解決を目指す。また、その具体化に向け、デジタルを活用した地域の自主的な取り組みを応援するための「デジタル田園都市国家構想推進交付金」を大規模に展開することを発表した。

11月26日に閣議決定した令和3年度補正予算には、「デジタル田園都市国家構想」実現に向け、「地方のデジタルインフラ整備」(571億円)、マイナポイント第2弾(1兆8134億円)、デジタル田園都市国家構想関連地方創生交付金(660億)、中小企業等事業再構築促進事業(6123億円)、中小企業生産性革命推進事業(2001億円)、農林水産業の輸出力強化、成長力強化(3200億円)を盛り込んだ。

スマートホーム先行型など
さまざまなアプローチ

第一回デジタル田園都市国家構想実現会議において、牧島かれんデジタル大臣は、デジタル田園都市の実現に向け様々なアプローチがあることを示した。国・地方が一体となって、官民一丸となった取り組みの実現を目指す。

例えば、全てのサービスに間口を広げ、総合的なまちづくりを目指す「Super City/Smart City型」、MaaSを基礎に、それを活用した生活サービスの実ビジネス化を目指す「MaaS発展型」、持続可能性の観点から生活サービスの再編を目指す「地域経済循環モデル型」、スマートヘルス、スマート農業、生体認証などを積極的に組み合わせ、高齢者が働きながら安心して暮らせるまちづくりを目指す「スマートヘルスケア先行型」、多様化する災害時の対応に最適なサービスやデータ連携基盤の設計から、緊急時に強い生活サービスの改善・再設計を目指す「防災・レジリエンス先行型」、次世代のデジタル家電と新しいライフソリューションサービスとが融合した住まいの再設計から見つめ直すまちづくりを目指す「スマートホーム先行型」などだ。どのアプローチでも、住宅業界が重要な役割を果たしていくことが求められるだろう。