温熱環境の改善やIoTでの見守りなどを推進
サ高住の新たな展開は地域価値の向上につながる
国土交通省 住宅局 安心居住推進課長
上森康幹 氏
(一社)高齢者住宅協会が、「2025年に向けた高齢者住宅に関する提言」を国交省に提言した。早めの相談体制の構築やサテライト型サ高住の実現などの提言を国土交通省はどう受け止めたのか─。安心居住推進課の上森康幹課長に聞いた。
──高齢者の住まいをめぐる環境が大きく変わろうとするなかで、(一社)高齢者住宅協会が提言をまとめました。
上森 少子高齢化は言うまでもありませんが、2025年には1950年生まれの人が75歳を迎える、つまり4年後には団塊の世代が後期高齢者となるのです。高齢者対策は待ったなしで、さらに加速していかなければなりません。また、高齢者住宅については、サービス付き高齢者向け住宅(以下、サ高住)の制度創設からちょうど10年目を迎えました。
そんな時機を見たタイミングで提言をいただいたと思っています。その内容は、住生活基本計画の方向性にも沿っており、住まい選びの総合的な支援体制の推進、ヒートショック対策など良好な温熱対策を備える住宅の整備、IoT技術を活用した見守りなどがあげられています。今後、提言を踏まえながら、住生活基本計画に沿った施策の展開を図っていく考えです。
──提言では、まず「早めの相談」の体制構築を指摘しています。
上森 昨年、日本財団が行った調査によると、人生の最期を迎えたい場所は「自宅」と考える人が約6割にのぼりますが、現実には7割以上の人が病院で亡くなっています。高齢者の想いと現実とのギャップを埋め、住み慣れた地域で暮らしていきたいという方々を支えていく必要があります。前提として本人の希望が大切です。しかし、実際に人生の終末期をどこで過ごすかは自分自身で決められておらず、介護が必要な状況になってから別居する子どもが決めるケースが多いようです。介護状態になる前に、自ら決めることができるよう情報提供や相談体制の整備などを図る必要があります。
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