【2021年重大ニュース 新時代のターニングポイント】改正木促法が施行

一般建築も含めて木造化を推進 国産材の利用拡大に強力な追い風

2021年10月、「脱炭素社会の実現に資するための建築物等における木材の利用促進に関する法律」が施行された。民間建築も含めて木材利用促進を図る。中高層の木造化、国産材の利用拡大も一気に加速しそうだ。


国産材を取り巻く環境は、近年劇的に変化している。伐採期を迎えた国産材を活用していこうという機運が高まり、また、SDGs、脱炭素化といった観点からも木材利用、木造建築に脚光が集まる。

こうした中で、2021年6月、「公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律(以下、木促法)」が改正され、一般建築も含めて木造化を推進していく方針が打ち出された。

今回の法改正では、新たに「脱炭素社会の実現」という大義を設定し、法律の題名を「脱炭素社会の実現に資するための建築物等における木材の利用促進に関する法律」へと改正。2021年10月1日施行された。また、林業・木材産業の事業者に対し、建築用木材などの適切かつ安定的な供給に努めるよう努力義務を規定した。

さらに、10月を「木材利用促進月間」、10月8日を「木材利用促進の日」と定めた。

建築物における木材利用の促進に関する施策も拡充する。同法による木材利用の基本方針、都道府県や市町村が定める基本方針の対象範囲を、現状の公共建築物から建築物一般に拡大し、広く民間建築も含めて木材利用を促進する。

木造建築物の設計・施工に係る先進的技術や、強度などに優れた建築用木材の製造技術の開発・普及も図る。

木材製造事業者が、公共建築物に係る建築用木材の供給能力の向上を図るために、建築用木材の製造のために必要な施設の整備、高度な知識または技術を有する人材を確保する取り組みに対して、国や地方自治体が必要な措置を講じるように努めることを求めている。木材製造の高度化に関する事業者の計画を認定し、開発資金を助成する仕組みなども盛り込んだ。

また、農林水産省内に特別機関として「木材利用促進本部」(本部長:農林水産大臣、本部員:総務大臣・文部科学大臣・経済産業大臣・国土交通大臣・環境大臣など)を設置し、建築物の木材利用に関する基本方針を策定し、関連する施策を実施、推進する。

さらに、国・地方公共団体と事業者などによる建築物における木材利用促進のための「建築物木材利用促進協定」制度を創設。国・地方公共団体は、協定を締結した事業者などへ必要な支援を行う。

2021年11月には、国土交通省は、(公社)日本建築士会連合会と第1号となる建築物木材利用促進協定を締結した。協定の名称は、「木造建築物の設計・施工に係る人材育成等に関する建築物木材利用促進協定」。木造建築物の設計・施工に係る人材育成や木造建築物の普及活動等を推進することにより、建築物における木材の利用の促進に貢献する。構想の実現に向けて、中大規模木造設計セミナーの開催、「木の建築賞」(表彰制度)の実施、都道府県建築士会と地方公共団体との協定の締結の働きかけなどを進める。

ポテンシャル秘めたオープン工法の中大規模木造


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