【2021年重大ニュース 新時代のターニングポイント】ウッドショックが波及
国内外の木材価格が高騰、不足 原料不足から住宅資材全般にも影響
コロナ禍に端を発し、国内外の木材の需給バランスが崩れ、高騰、不足するウッドショックに、2021年の住宅業界は振り回された。ここにきて住宅資材全般についても価格高騰、不足する状況が続いている。
これまでも環境問題などを背景に、木材の輸出国が森林伐採を禁止するなど規制を強化し、木材供給が滞りウッドショックと呼ばれる事態は発生した。第1次ウッドショックは、北米西海の環境問題により天然林の伐採禁止で産地価格が高騰したことにより1990年代に発生。2006年の第2次ウッドショックは、インドネシアの森林伐採制限で丸太価格が高騰したことが引き金となった。
元鹿児島大学教授で、NPO法人活木活木(いきいき)森ネットワーク理事長の遠藤日雄氏は、「過去の2度のウッドショックに共通しているのはいずれも供給側の問題であったが、今回のウッドショックは、複合的な要因が重なり発生している。米国・中国における需要拡大、世界的なDIY需要の高まりといった『需要』の問題、工場稼働率低下による製材品不足、北米西海岸の森林火災、コロナ需要減を見越した出材減といった『供給』の問題に加えて、コンテナ不足、スエズ運河座礁といった『物流』の問題も含めた複合的な問題が重なり合っている」と指摘する。
ウッドショックにより住宅事業者も対応を余儀なくされた。ただし、高い購買力を持ち、計画的な木材調達を行う大手ハウスメーカーには今のところ大きな影響は出ていない。
大手製材メーカーは、既存客に限り、昨年の販売量の105%を目途に受注、販売する。ウッドショック以後、多くの購入依頼があるが、「大規模な投資を行い、工場設備を整備する我々にとって安定的に購入してもらえるお客様が非常に大事。既存のお客様に平等に買っていただくことを優先している」と、新規顧客はすべて断っている状況だ。
より深刻な事態が生じたのは工務店業界だ。実際に木材が調達できず、契約したが工事に着手できない、上棟予定日が伸びるといった事態が発生した。工務店業界の関係者は、「3月にプレカット最大手の会社が受注制限を発表して木材不足が表面化し、プレカット工場に加工を断られた住宅会社がプレカット難民となってウッドショックが発生した。受注制限はさらに強化され、現在の混乱した状況が生まれている。プレカット工場側から見て、残ってほしい『おなじみさん』と、そうでない顧客が選別されている。プレカット工場によっては発注量の少ない工務店も選別の対象になる」と説明する。
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