「温熱環境と睡眠」関西大学 環境都市工学部 建築学科 教授 都築和代 氏

光に加えて温熱環境も睡眠の質に影響 高断熱住宅では除湿で睡眠効率が向上

これまで光と睡眠の関係の研究は活発に行われてきたが、ここにきて温熱環境が睡眠の質に影響を与えるという研究成果も積み重なってきている。関西大学の環境都市工学部 建築学科の都築和代教授によると、高断熱住宅だからこそ留意しなければいけない点があるという。


関西大学 環境都市工学部
建築学科 教授
都築和代 氏

──睡眠と健康の関係、現代人の睡眠の傾向について教えてください。

私は1999年に睡眠環境の研究を始めました。この20年ほどの研究成果により、睡眠不足により、健康に悪影響を与えるという因果関係が医学的、科学的にも分かり始めています。夜間に十分に睡眠を取ることができないと、ホルモンのバランスが崩れ、満腹感が減り、食欲が増えて、肥満になりやすい、生活習慣病のリスクが高まる、といったことが分かっています。また、睡眠時間が短いと、昼食後に眠気が生じやすく、交通事故のリスクが高まるという研究データもあります。

夜にしっかり眠れていないと、昼間に眠気を感じて仕事の効率が落ちるということは、我々も経験から知っています。実際に、しっかり睡眠をとった人と、睡眠不足の人に、同じ仕事をさせる実験を行うと、睡眠不足の人に眠気に関係するα波のパワーが強くなり、ぼーっとしている時間が長くなることが分かっています。

睡眠の質が良くない、睡眠の時間そのものが短いと、次の日のパフォーマンスが発揮しにくくなります。かつて「24時間働けますか」というスローガンを打ち出したCMがありましたが、今はそんな時代ではありません。活動する時間の効率を高めるために、効率よく睡眠をとりましょう、きちんと決まった時間に睡眠をとりましょうという方向に、社会全体が向かい始めています。

──睡眠の質を高めるために、どのようなことに留意する必要があるのでしょうか。


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