エンデの「モモ」のところへ/死的退屈症”の病気に
エンデの「モモ」のところへ
新型コロナの収束のメドがつかない。東京オリンピック2020+1が開催され、メダル獲得58個を皮肉るかのように感染5波(ゴハ・58)が猛威を振うとあっては洒落にもならない。そんななかで不毛に近い国民そっちのけの政局騒ぎも。倒産・廃業が相次ぎ、失業、そして自殺者の増加は悲しい。マスク姿の日常生活が無表情をいっそう助長する。目は口ほどにモノを言うというが、マスク人間の目はモノを言わない。マスクごしの言葉はくぐもって不気味でもある。おぞましい自粛警察のもと意地悪でイラ立った悪相だらけの人たちもバッコする。アバシー(無感動、無刺激)現象の広がりのような気さえする。
ステイホームのなか旧友からメールだ。「ミヒャエル・エンデの“モモ”を改めて感慨深く読んだよ」「ポストコロナ、ウィズ・コロナへのヒントが溢れている気がするんだが―」とも。「モモ」(岩波書店、大島かおり訳)は50年近く前に刊行された児童文学の傑作だが、自分が手にしたのは20年以上前だろう。これが児童書?と思ったほど含蓄に富み、社会批判に驚き、哲学書にも近いのでは、の印象さえ持ったのを覚えている。それが、友人のメールで再びモモがよみがえった。改めて一気読みし、そして再びウーンと唸る。
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