〈住宅言論広場Agora〉住宅業界のLGBTへの配慮
LGBT総合研究所 森永貴彦 氏 / LGBT 法連合会・NPO法人共生ネット代表理事 原ミナ汰 氏
住宅産業に関わる様々なテーマを取り上げ、業界内外の一線で活躍するトップランナーや有識者などが、独自の視点で分析、解説、提言する場「Agora」。今回のテーマは「住宅業界のLGBTへの配慮」。
LGBTへの配慮は市場獲得のチャンス

LGBT総合研究所 代表取締役社⻑
森永貴彦 氏
2015年に、同性同士のパートナー関係に対して婚姻に近しい関係と認める「同性パートナーシップ制度」が一部の自治体で導入されたことなどを契機として、社会のLGBTへの意識は徐々に変わってきています。しかし、まだまだ同性同士のパートナーを婚姻関係と等しく扱う状況は一般的にはなっていないため、当事者にとって課題が多いのが実情です。
住宅でも賃貸住宅の契約時や戸建住宅の購入時などに非常に大きな困難が伴います。
賃貸住宅については、大家や周辺住民の多様な性のあり方に対する理解が課題です。特に大家については入居を拒否する人もおり、希望条件に合った住まいを見つけることが難しいのが実情です。こうしたことから、LGBTの当事者には、単身で契約して後からパートナーをこっそり呼び込んで一緒に住むという契約違反を犯さざるを得ない状況に追い込まれている人もいます。最近は大手住宅不動産ポータルサイトで、LGBTに理解を示す大家の賃貸住宅を集めて紹介する動きも出てきています。しかし、「LGBTフレンドリー」をうたうことで、住環境が悪く入居者が見つからない部屋や事故物件を押し付けて斡旋しているケースもあり、サービスのあり方を見直す必要も出てきています。
住宅購入に関しては住宅ローンが大きな問題の一つです。同性パートナー同士が二人で収入を合算して住宅ローンを組もうとしたけれども婚姻関係と認められないため金融機関から拒否され、十分な額の住宅ローンを組めないといったことがあります。最近は当事者に対して収入合算ローンやペアローンを認める金融機関も出てきていますが、公正証書など通常では必要ない書類を用意する必要があるなどスムーズにいかない部分もあり、サービスの改善が必要であると言えそうです。
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