マンション買取再販最前線
ストック市場拡大の起爆剤になるか
中古マンションの買取再販市場が拡大している。
「リノベーション」への認知度が高まり、中古住宅の「不安」「汚い」「わからない」といったマイナスイメージが払しょくされ、昨今の新築マンションでは求めにくい、消費者の“値ごろ感”や“住みたいエリア”へのニーズに対応できるためだ。
それに伴い新規参入が後を絶たない。中古マンションの買取再販市場の最前線を追った。
新築分譲マンション価格の上昇基調が続いている。
不動産経済研究所によると、2020年の全国平均の価格は4971万円と5000万円に迫った。この10年で平均価格は1000万円以上上がっている。最大の要因は東京都区部での価格の上昇だ。東京都区部の新築マンションの平均価格は2011年で5339万円だったが、2020年は7712万円に。4割以上上昇している。
首都圏の神奈川や埼玉、千葉も上昇はしているものの上昇幅は1〜3割のため、東京都区部の価格の上昇が全体の平均価格の押し上げに大きく関わっている。
上昇が続く背景にあるのは新築供給数の減少だ。分譲マンションの供給戸数は2013年以降減少局面に転じている。
リーマンショックの影響で2007年〜2009年の供給戸数は落ち込んだが、それ以降回復基調に。11年の東日本大震災で再び供給戸数は減少したものの、2013年には全国で10万戸を超す供給量となった。しかし、この年を境に供給戸数は減少局面に入った。
2020年は新型コロナウイルスの感染拡大の影響もあり、全国の販売戸数は5万9907戸と1976年以来の6万戸割れとなった。
首都圏での供給戸数の落ち込みが目立ち、ここ数年は3万戸台で推移していたが、2020年は3万戸を割り込んだ。特に東京都区部では2020年の販売戸数は1万911戸と、この10年でほぼ半減の販売戸数となった。
供給が少ないのは、マンション適地の用地が少ないためだ。このため、土地の取得価格が高騰。建築価格上昇の影響も受け、新築分譲マンションの価格は強含みで推移している。
ただ、高値基調の中でも、新築分譲マンションの売れ行きは堅調である。不動産経済研究所の調査では、首都圏の販売在庫数は2020年12月末で8905戸と2年連続で前年を下回った。即日販売戸数は全体の1.6%と、コロナ禍の販売でありながら前年より0.3ポイント増えた。「共働き世帯が増えWローンでマンションを購入するケースが増えている」(大手デベロッパー)ことなどが高い購買意欲を支えている。
新築高騰で中古需要旺盛
5000万円超の物件が拡大
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