あれから1年 コロナで変わるマーケット

パンデミック後の住産業

コロナ感染拡大の第一波から1年が過ぎた。
特に緊急事態宣言下で、仕事や暮らしが一定の制限を受け、社会そのものが大きく変わらざるを得ない状況が続いている。
こうした変化を受け、住生活でも大きな変化が起こり、新たなニーズが生まれている。
パンデミックで何が変わり、何が変わらないのか。
この一年の変化と、これからを探った。

【テレワーク】テレワーク導入率はコロナ禍で2倍に ワーケーション、郊外居住と新需要続々

コロナ禍が私たちの暮らしに与えた影響のうち、最も大きいものの一つがテレワークの普及である。テレワーク導入率はコロナ禍で2倍に拡大。今後、さらなる拡大が見込まれるテレワークが働き方を変え、住まい方を変えそうだ。


急激な拡大も
足元では2極化

東京都が都内の企業(有効サンプル数539社)に実施した調査によると、3月後半の都内企業(従業員30人以上)のテレワーク導入率は56.4%だった。昨年3月の導入率は24%であり、2倍以上に増えていることがわかる。

制度等に基づく雇用型テレワーカーの割合(雇用型就業者全体) 出典:国土交通省「テレワーク人口実態調査

また、国土交通省が3月に発表した、全国の就業者(有効サンプル数4万人)に対して行った「テレワーク人口実態調査」で19.7%と約2倍に増えた。東京都の調査よりも低く出ているが、母数が4万人と多いことや、実施率が低い地方も含めて聞いているためだ。

この一年間でテレワークの実施が倍増したのである。(一社)日本テレワーク協会 田宮一夫専務理事は「コロナ禍でテレワークが一気に普及したことは間違いない」と話す。

しかし現在、第4波が不安視されながら、オフィス街の人出はむしろに増えている。テレワークをめぐる変化は今なお続いており、まだまだ一般化したようには言えない。
「コロナ禍でテレワーク導入企業の2極化が進んでいる」と指摘するのは、東京工業大学の比嘉邦彦名誉教授だ。

第1回目の緊急事態宣言では多くの企業がテレワークを実施したが、その後は徐々に減少している。これは宣言解除後もテレワークを継続・拡大した企業がある一方で、宣言解除後には廃止・縮小したところもあり、対応に差が生じているためだ。

この対応の差は「経験値の問題に起因する」と比嘉名誉教授は話す。コロナ禍前からテレワークを導入していたところは継続・拡大し、コロナ禍で半強制的に導入したところは縮小・廃止の傾向にある。これはコロナ禍前からテレワークを取り入れていたところは既に経験値が高いためにテレワークの課題を見つけ、それに対して対処できていた。一方で、半強制的に慌てて導入したところは経験値がないために、生産性が上がらず、テレワークの継続意識を見出せなかったため、縮小・廃止するところが多くなったということだ。

中長期的には定着へ
優秀な人材獲得で導入は必須に


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