分譲マンション共用部に個室空間の提案相次ぐ
テレワークの普及で住まい選びの基準の1つに
分譲マンションの共用部に、仕事が集中してできる個室空間を提案するデベロッパーが相次いでいる。コロナ禍でテレワークが広がる中、居住スペースが限られる集合住宅でも快適なテレワークを行うことができるとして関心が高まっている。
三菱地所レジデンスと三菱商事都市開発、野村不動産が昨年10月に販売を始めた愛知・名古屋駅徒歩圏に位置する大規模複合再開発「ノリタケの森地区計画」内の大規模マンション「ザ・パークハウス 名古屋」(総戸数462戸、引き渡し予定10月上旬〜)の共用部に個室空間「テレキューブ byオカムラ」を設置する。
この個室空間は、チェアやデスクなどのオフィス用品を手掛けるオカムラが、ブイキューブ、テレキューブと共同開発したフルクローズ型のスマートボックス。内部は遮音、吸音性に優れ、テーブルと椅子が配置されており、セキュリティが保たれた静かな環境でWeb会議などのコミュニケーションが可能だ。オフィスや公共空間、駅の構内などに設置が進んでいるが、共同住宅に設置されるのは東海エリアでは初めてという。ザ・パークハウス 名古屋にはテレキューブを2台設置。共用部には1席ごとに区切られている「スタディルーム」もある。ひとりで静かに集中するときには「スタディルーム」で、Web会議などはテレキューブと、それぞれ使い分けをしながら、居住者は個室空間を活用する。
近鉄不動産とNIPPO、オーエス、アートプランニングは、大阪市東淀川区で建設中の新築分譲マンション「ローレルスクエアOSAKA LINK」(総戸数393戸、引渡予定22年7月)の共用部に個室型「テレワークスペース」を取り入れる。住民でシェアするリビングをイメージした共用空間「リンコムラウンジ」の一角に、個室型ワークスペースを配置する。マンション住戸内でテレワークをする場合、ワークスペースが確保できなかったり、家族がいて集中できなかったり、オンオフの切り替えが上手くできないといった問題がある。マンション共用部に、個室を設けることで、こうした問題の解消につなげる狙いだ。
三井不動産レジデンシャルが鹿島建設、清水建設と手掛ける分譲マンション「パークタワー勝どきミッド/サウス」(東京都中央区、総戸数2786戸、入居開始予定24年4月下旬)には共用部にコワーキングスペースが設けられ、その中に個室ブースも設置される計画だ。三井不動産レジデンシャルが契約者を対象に実施したアンケートによると、住まい選びで重要視する項目として、共用部などのワークスペースの有無を挙げた人が3割を超え、コロナ禍前の3倍に。「リモートワークが暮らしの中心となる中で、必然的に住まい選びにおけるワークスペースの注目度も上昇した」(同社)とみる。
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