2021.4.13

分譲マンション共用部に個室空間の提案相次ぐ

テレワークの普及で住まい選びの基準の1つに

分譲マンションの共用部に、仕事が集中してできる個室空間を提案するデベロッパーが相次いでいる。コロナ禍でテレワークが広がる中、居住スペースが限られる集合住宅でも快適なテレワークを行うことができるとして関心が高まっている。


三菱地所レジデンスと三菱商事都市開発、野村不動産が昨年10月に販売を始めた愛知・名古屋駅徒歩圏に位置する大規模複合再開発「ノリタケの森地区計画」内の大規模マンション「ザ・パークハウス 名古屋」(総戸数462戸、引き渡し予定10月上旬〜)の共用部に個室空間「テレキューブ byオカムラ」を設置する。

「パークタワー勝どきミッド/サウス」の共用部に設けられるコワーキングスペースに設置される個室ブースイメージ

この個室空間は、チェアやデスクなどのオフィス用品を手掛けるオカムラが、ブイキューブ、テレキューブと共同開発したフルクローズ型のスマートボックス。内部は遮音、吸音性に優れ、テーブルと椅子が配置されており、セキュリティが保たれた静かな環境でWeb会議などのコミュニケーションが可能だ。オフィスや公共空間、駅の構内などに設置が進んでいるが、共同住宅に設置されるのは東海エリアでは初めてという。ザ・パークハウス 名古屋にはテレキューブを2台設置。共用部には1席ごとに区切られている「スタディルーム」もある。ひとりで静かに集中するときには「スタディルーム」で、Web会議などはテレキューブと、それぞれ使い分けをしながら、居住者は個室空間を活用する。

近鉄不動産とNIPPO、オーエス、アートプランニングは、大阪市東淀川区で建設中の新築分譲マンション「ローレルスクエアOSAKA LINK」(総戸数393戸、引渡予定22年7月)の共用部に個室型「テレワークスペース」を取り入れる。住民でシェアするリビングをイメージした共用空間「リンコムラウンジ」の一角に、個室型ワークスペースを配置する。マンション住戸内でテレワークをする場合、ワークスペースが確保できなかったり、家族がいて集中できなかったり、オンオフの切り替えが上手くできないといった問題がある。マンション共用部に、個室を設けることで、こうした問題の解消につなげる狙いだ。

三井不動産レジデンシャルが鹿島建設、清水建設と手掛ける分譲マンション「パークタワー勝どきミッド/サウス」(東京都中央区、総戸数2786戸、入居開始予定24年4月下旬)には共用部にコワーキングスペースが設けられ、その中に個室ブースも設置される計画だ。三井不動産レジデンシャルが契約者を対象に実施したアンケートによると、住まい選びで重要視する項目として、共用部などのワークスペースの有無を挙げた人が3割を超え、コロナ禍前の3倍に。「リモートワークが暮らしの中心となる中で、必然的に住まい選びにおけるワークスペースの注目度も上昇した」(同社)とみる。

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ハウジング・トリビューンVol.624(2021年14号)

特集:

巨大な潜在市場が動き出す

2015年のいわゆる「空家特措法」施行から6年が経過する。
国は大きく利活用と除却の二方面から、制度改正や補助事業などを通じて空き家対策を進めてきた。
発生の抑制や除去などに一定の効果が出ているが、利活用についてはなかなか火がつかなかった。
空き家問題には数多くの課題が横たわる。
今、こうしたその散在した課題を解決するサービスが続々投入されている。
さらに、コロナ禍は空き家市場にとってマーケット拡大のきっかけになる。
テレワークの普及により、多拠点居住や多拠点ワークを行う「場」として空き家に関心が高まっているからだ。
今年3月に閣議決定された住生活基本計画でも、空き家の活用を「新たな日常」に対応した新しい住まい方の実現の1つに挙げている。
また、6月18日に閣議決定された骨太の方針でも空き家について言及。
「先進的取組や活用・除却への推進等の支援」などをしながら、既存住宅(ストック)市場の活性化に結び付ける考え方を明確にした。
こうした空き家への関心の高まりを追い風に、いよいよ空き家マーケットの誕生の期待が高まる。
国が掲げる2030年に14兆円のストック市場の実現可能性が見えてきた。

目次

HTʼs eyes

土石流が人災であったとしても
大規模盛土造成地の点検スピードアップを

ストック市場のけん引役になるか
空き家ビジネス
巨大な潜在市場が動き出す

TOPIC&NEWS

YKK AP、木製内窓の促進をサポート 木製窓展開の布石に
ミサワホーム、2030年に向けた実証住宅を建設
日本モバイル建築協会が発足、"移動式"の仮設住宅の普及に弾み

スマカチ通信2021 No.17「住宅業界のためのオウンドメディア講座」

INTERVIEW

長谷川萬治商店/長谷萬 代表取締役 執行役員社長 長谷川泰治 氏
木が求められる時代に材木屋を再定義
感動を与えられる商品・サービスを充実

CLOSE UP

三井ホーム 中大規模木造マンションブランドを創設
積水化学工業住宅 カンパニー 脱炭素と災害対策が付加価値の街づくりを強化
ビスダックジャパン パネルを活用した木造システム工法を開発

脱炭素化でギアチェンジ
加速する住宅省エネ化 動き出す断熱材市場

中央住宅 敷地とエネルギーをシェア 脱炭素社会を目指す暮らし価値を創造

リンナイ 入浴に新たな価値を! さらに上質なお風呂時間を実現

連載

[国産材を活かす㉓]『ウッドショック』下の木材利用③
林材ライター 赤堀 楠雄 氏

トヨタホーム 首都圏郊外での戸建分譲開発を推進
アイダ設計 省エネ性能の説明義務化を契機に提案力向上へ
ケイアイスター不動産 賃貸併用住宅の提案を開始
日鉄興和不動産 新たな暮らし方を探索 社内にシンクタンク
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