来るか? 国産材ファーストの時代

SDGs、脱炭素達成に向け脚光

国産材を取り巻く環境は近年、劇的に変化している。
伐採期を迎えた国産材を積極的に活用しようという機運が高まり、また、SDGs、脱炭素といった観点からも国産材に脚光が集まる。
さらに、新型コロナ感染拡大の影響で、外材の輸入が滞り、外材が高騰、不足する逼迫した状況の中で国産材へのシフトが加速する。
こうした中で、持続可能な形で国産材活用を推進していこうとする住宅事業者などの取り組みも活発化しつつある。

伐採期を迎えた国産材を有効活用
脱炭素、SDGsの観点でも注目

国内の森林資源が本格的な伐採期を迎える中、国は森林・林業基本計画で、2025年までに国産材自給率を50%まで引き上げる目標を掲げる。1960年代の木材の輸入自由化以降、国産材の供給量は減少傾向であったが、2002年を底に増加傾向が続き、木材自給率も2002年を底に上昇傾向で推移し、2019年には9年連続の上昇で37・8%となった。国内の森林資源の充実とともに、国産材の利用拡大を促す技術開発、大型の製材工場や合板工場の整備などが進み、国産材利用拡大に貢献している。

出典:林野庁

SDGの観点からも再生可能な木材、国産材への注目度が高まっている。SDGsが示す17のゴールのうち14のゴールは、森林の循環利用、木材の利用などと密接に関連している。森林を始めとする自然資本を持続可能なものとしなければ、経済や社会に関連する他のゴールの達成も望めない。こうした中で、経済界などから持続可能な社会の実現に向けた取り組みの一環として、木材を積極的に活用し、森林の循環利用に貢献していこう動きが顕在化してきている。

日本の企業経営者の団体、(公社)経済同友会は2019年11月、国産材需要の拡大と林業活性化の実現に向け、各地方経済同友会、地方自治体などと連携して、「木材利用推進全国会議」を設立した。民間企業を主体としたネットワークを構築し、木材に関わるあらゆる事業者が一堂に会して、勉強会や情報交換を重ねることで、経営者が率先して国産材を利用しやすい環境づくり、木材利用が環境や社会に与える価値の共有、林業の生産性向上と新たな技術の普及を目指す。

日本は面積の7割が森林であり、地方創生を実現していく上でも、地域と密接に関連する林業の振興は欠かせない。林業関係者は、「林業が廃れた地域は、急激に過疎化が進行していく」と指摘する。


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