2021.3.19

住友不動産 通信端末の“出前”で気軽にオンライン見学会に

新築分譲マンションの販売でスマホ世代の掘り起こしも

新築分譲マンションのモデルルームをオンライン上で見学できるサービスを展開する住友不動産は、通信機器がないなどの理由で参加できない客に対して、タブレット端末などを貸し出すサービスを始めた。


同社は昨年6月、ウィズコロナ・アフターコロナの一環として、全国で販売する全ての物件を対象に非対面型での販売手法「リモート・マンション販売」を取り入れた。購入検討の初期段階である「情報収集」から「モデルルーム見学」、「申込み・契約」、「重要事項説明」、「引渡し」に至るまで、希望に応じて非対面による対応を可能に。対面による接客や購入手続きの回数を減らし、新しい生活様式を意識した利便性の高いサービスを投入した。

モデルルームをWeb上で見学できる「オンライン見学会」では、物件紹介をはじめ周辺環境情報、モデルルーム撮影動画、最寄り駅から物件までの経路(動画)、詳細資金計画・住宅ローン相談、質疑応答などがパソコンやタブレット端末を使って、現地に足を運ばなくてもできるようにした。

「出前deオンライン見学会」の流れ

また、7月には新規集客を始める5物件について、オンライン接客に限定した販売活動をスタート。対面を主軸としている物件個別のモデルルームを集約した都内の「総合マンションギャラリー」の中に、「住友不動産リモート販売センター」を開設するなど、非対面での販売に力を入れている。

同社によると、昨年6月から半年間のオンライン見学の実績は約2400組、来場に占めるオンラインの割合は11%。オンライン見学で実際に契約まで至ったのは10%程度で、「対面での販売と大差はない」(同社)と感触を掴む。

着実に効果が出ているオンラインによる新築分譲マンション販売。ただ、オンライン見学会に参加するために客は自らインターネットに接続されたパソコンやタブレット端末を用意しなければならない。

このため通信機器を持っていなかったり、通信機器はあってもオンライン見学会のやり方が分からなかったりする客からすると、利用しにくかった。こうした客に対して同社は、通信機器を客の自宅に届け、気軽にオンライン見学会へ参加できるサービス「出前deオンライン見学会」を始めた。

客は電話やインターネットで、出前見学会のサービスを申し込むと、自宅に通信機器が配達される。客はオンライン見学会を始める少し前に、同社の担当者からサポートを受けながら、オンライン見学会ができる環境を整備する。

通信機器は見学会が終わると、その日のうちに回収されるという流れだ。対応エリアは東京都と神奈川、千葉、埼玉の各県。

同社は「スマホしかなく、パソコンやタブレット端末を持っていない人もいる。オンラインでのマンション見学会に興味があるが、通信機器がないなどの理由で、これまで取り込めていなかった層への訴求を図っていく」と話す。