セレンディクスパートナーズ、21年中に日本初の3Dプリンター住宅の実現へ
24時間、300万円で建築
セレンディクスパートナーズは、2021年中に日本で初となる3Dプリンターによる住宅の建築を目指す。
24時間、300万円で建築可能とし、これまでにない新たな住宅づくりを実現させたい考えだ。
住宅ローンに縛られない暮らしを提案
車のように買い替えも可能に
3DCADの設計データをもとに、スライスされた2次元の層を1枚ずつ積み重ねていくことで、立体モデルを製作する3Dプリンター。海外では住宅の建築に活用される事例も出てきているが、日本でもいよいよ実現に向けて取り組む動きが出てきた。
スタートアップのセレンディクスパートナーズ(兵庫県西宮市・小間 裕康CEO)は、2021年中に日本で初となる3Dプリンターによる住宅「Sphere(スフィア)」の建築を目指す。3Dプリンターを活用することで人件費と物流コストを削減し、30坪で価格300万円以下の住宅の販売を実現したい考えだ。
「日本の住宅価格は高く、住宅ローンに縛られる暮らしを強いられている人が多い。また、一度住宅を購入すると住み替えることは難しい。こうした実情に課題感を持っており、3Dプリンターの活用で割安な住宅を実現し、車と同じように、家もライフスタイルやライフステージに合わせて自由に買い替える暮らしを実現させたい」と、飯田国大COOは話す。
10㎡程度なら約7時間で建物が完成
セレンディクスパートナーズが実現を目指す3Dプリンター住宅「Sphere」の施工方法は次の通りだ。まず、米国から購入した建築用3Dプリンターを建築現場に運び、建物(壁・床・天井)を形作るための素材を3Dプリンターに投入。スイッチを入れると、10㎡程度の建物の場合約7時間で建物が完成する。その後、人の手で窓や内装の施工、電気・ガスなどのインフラ工事を行う。全ての工程を合わせても24時間以内に収める計画だ。
3Dプリンターはピックアップトラックで運べるコンパクトなタイプのものを採用し、建築場所が狭い道路に面していても運び込めるようにする。また、将来的には国内で機械メーカーと独自の住宅建築用3Dプリンターの開発も視野に入れている。
建物を形作るための素材については、化学メーカーと協業し、強度・耐火性・耐震性・断熱性・耐水性・遮音性を有する素材をベースにした多機能素材の開発を計画中だ。日本の住宅ではまだ使われていない新たな素材だという。
「Sphere」の最大の特徴は、建物の形状を、高い強度を実現する球体としていること。海外で建築されている箱型の3Dプリンター住宅は、3Dプリンターで出力したコンクリートに鉄骨などの構造体を入れることで、強度を確保している。しかし、構造体の施工には人の手が必要であり人件費が掛かる ̄ ̄。
そこで、「Sphere」では、建物の形を球体状とし、強度の優れた前述の新素材を使用することで、鉄骨などの構造材を使用しなくても十分な強度を実現する。「球体の建物形状は、風速120メートルと過酷な環境である火星への移住を目指したNASAのプロジェクトでも採用されており、物理的に最強の家の形状」と飯田国大COOは話す。「Sphere」の強度については、大手建設会社の協力を得て性能評価を行い、エビデンスを得る考えだ。
まずはプロトタイプからまちづくりも構想

セレンディクスパートナーズでは、2021年中に、建築確認申請手続きが不要な床面積10㎡未満のタイプ(9.9㎡)の「Sphere」を発売し、まずは、別荘需要などを開拓する。そして、2022年には、同法の対象となる30坪タイプも大臣認定を取得し、一般住宅市場へ向けて販売を目指す方針だ。
「これまでにない住宅なので、すぐに広く受け入れられるとは考えていない。まずは、床面積10㎡未満のタイプで、別荘やグランピングといった週末居住用途で世の中に3Dプリンター住宅のメリットや住み心地を知ってもらい、そのうえで、一般住宅に広く展開していきたい」(飯田国大COO)としている。
また、セレンディクスパートナーズは将来的に「Sphere」を導入したスマートシティも構想。現在、国は自治体と事業者が一体となって先端技術を導入した未来のまちづくり「スーパーシティ」を国家戦略特区で実現しようとしている。セレンディクスパートナーズは、こうした枠組みなども使いながら、最先端の住宅「Sphere」による街づくりを自治体に提案し、実現に向けて取り組みを進めていきたい考えだ。
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ハウジング・トリビューンVol.640(2022年8・9号)
特集:
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また、その中でも特に注力したいテーマと、なぜそのテーマを選択したのか理由を聞いた。
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