戸建リノベは収益化できるのか?
中古住宅流通量増で期待度上昇
「中古マンションを購入してリノベーション」ということが住まいの選択肢の一つとして定着する一方で、戸建住宅のリノベーションについては、ニーズはあるものの工事の難しさ、性能の確保、コストアップなどのハードルも多く普及には至っていない。しかしここにきて建材メーカーなどが中心となり戸建住宅の性能向上リノベーションを支援する動きが活発化している。日本では戸建住宅の方がマンションよりもストック数は多く、新築市場が縮小していく中で有望市場であることは間違いない。戸建リノベの収益化に向け、どのようなアプローチが有効なのか。トップランナーの事業者の動きからヒントが見えてくる。
"フローからストック"が鮮明に
2030年、購入の半数は既存住宅
日本では、戸建住宅に対するニーズは高く、戸建住宅の方がマンションよりもストック数は多い。総務省の2018年「住宅・土地統計調査」によると、居住世帯のある住宅は5366万戸となっており、この内訳を建て方別にみると、一戸建が2876万戸(53・6%)、共同住宅が2334万戸(43・5%)、長屋建が141万戸(2.6%)。2013年と比べると、それぞれ一戸建てが16万戸(0.6%)、共同住宅が126万戸(5・7%)、長屋建が12万戸(9・2%)の増加となっている。
また、新築市場が縮小し、フローからストックへという流れが鮮明になり、既存住宅流通市場が徐々に動き出す中で、今後はマンションだけでなく、戸建住宅の流通量も拡大していくことが期待されている。
野村総合研究所がまとめた「既存住宅流通量、既存住宅を購入した世帯比率の実績と予測結果」によると、住宅を購入する全世帯のうち、既存住宅を購入する世帯の比率は2015年が約29%であるのに対して、2030年には約48%にまで上昇すると予測。既存住宅の購入者が増える中で、新しいビジネスチャンス創出の期待が高まっている。
東日本レインズが公表した「首都圏不動産流通市場の動向(2020年)」によると、2020年の首都圏中古戸建住宅の成約件数は1万3348件(前年比2.4%増)と2年連続で前年を上回り、2016年(1万3195件)以来4年ぶりに過去最高を更新。都県・地域別に見ると、東京都を除く各県・地域で前年を上回った。コロナ禍の影響で、テレワークが一般化し、「3密」を回避するため、東京を脱出し、郊外へと住まいを求めるニーズが高まり、そのニーズは新築だけでなく、中古戸建住宅にも広がっていることがうかがえる。
一方で、新規登録件数は6万4396件(前年比11.2%減)で4年ぶりに前年を下回った。不動産市場に詳しい関係者は、「短期的に見て中古戸建を売りたいという人が減ったのは、コロナの影響もあって中古戸建の成約件数が過去最高を記録したのとは逆に、既にある程度広い家に住んでいる人は、様子見を含め、売却して住み替えするモチベーションが今は高くないことが考えられる」と見る。
期待が高まる戸建の買取再販
請負型の戸建リノベにも脚光
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