ニューノーマルとは?
“ニューノーマルな暮らし”に対する提案が急ピッチで進んでいる。
その代表例の一つが“抗ウイルス”であろう。住宅内感染の不安から、ウイルスを家の中に持ち込まないため玄関ドアの把手に消毒液をぶら下げる光景を見ることもあった。こうしたなかで当然のように出てきたのが抗ウイルス仕様の内装材である。ドアノブや引手、手すりといった頻繁に触る部位はもとより、飛沫によるよるウイルスが床に落ちることを踏まえフローリング材に、また、部屋全体の壁やドアの表面といった垂直部位にも抗ウイルス仕様が登場している。
内装材建材各社、また、表面の塗料やシートなどを開発する関連各社は、それこそ一斉に抗ウイルスへの対応を進めた。(一社)抗菌製品技術協議会は、一定の基準を満たしたものに「SIAAマーク」を発行しているが、会員が爆発的に増え、今、その認証の順番待ちとなっているほどだという。
1990年代後半、抗菌がブームと呼ばれるほどに広がった。O157による食中毒事件などが背景に指摘されているが、あまりの急拡大に「そこまでしなくても…」と行き過ぎの潔癖症を指摘する声もあった。しかし、20年以上が経つなか、トイレなど衛生さが求められる環境はもとより、床材や壁材でも抗菌仕様はもはやスタンダードとなり、当たり前の仕様になった。
抗ウイルス仕様も同じように一般化するのにたいして時間はかからないだろう。建材各社に取材しても、抗ウイルスのさまざまな製品への水平展開を明言している。間違いなくコロナが住空間を変えようとしているのである。
もちろん抗ウイルスだけではない。化学物質による室内空気環境汚染を背景に2003年に建築基準法が改正され、機械換気設備の設置が義務づけられた。住宅では1時間に0.5回以上の換気回数の確保が求められている。ただ、24時間システムを居住者がオフにするなど、住まい全体がどれだけ計画的に換気されているかと言えば、はなはだ心もとない。高気密化が進むなかで換気の重要性が指摘されてきたが、住宅においても第一種換気設備を提案する動きが始まっている。
足元の対応が“コロナ対策”であることは仕方がない。そのコロナを一つのきっかけに、今、あらためて「住まいとは何なのか」が問われている。不謹慎かもしれないが、何かワクワクしないだろうか。
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