リコー、AI使い空室物件にバーチャルで家具自動配置
賃貸の仲介、管理でホームステージング需要を掘り起こし
リコーは、360°パノラマ画像を活用したバーチャルツアー作成サービスに、AIで家具を自動配置するサービスを投入した。低コストで提供できることから、同社は「賃貸住宅の仲介、管理での需要を掘り起こす」と強調する。
バーチャルツアー作成サービス「THETA 360.biz」は、360°カメラ「RICOH THETA」で撮影した画像を不動産事業者のホームページに簡単にパノラマムービーとして埋め込むことなどができるWebサービス。パノラマムービーとして紹介される物件はパソコンやスマホを通じて部屋の隅々まで確認できる。不動産事業者は現地へ行かずに、客に物件を紹介できるというのが最大のメリットだ。
同社によると、現在の利用者数は8000社。このうちの多くが不動産事業者や建築業者で占められているという。コロナ禍で、不動産事業者などは対面での接客が制限される中、同サービスが不動産事業者のサービスを下支えした。サービス自体は2014年から展開しているが、コロナ禍のおよそ1年間で「2000社以上利用者が増えた」(同社)と明かす。
同社がバーチャルツアー作成サービスに目を付けたのは、日本でも徐々に広がってきている「ホームステージング」が背景にある。空室物件に家具や小物類を入れながら、居住空間を演出し、流通促進につなげる手法で、同社は18年にバーチャルでホームステージングを提供する「RICOH360-VRステージング」のサービスを、「THETA 360.biz」のサービスに追加した。家具などの配置はデザイナーが担い、新築や既存住宅の販売に貢献してきた。このバーチャルのホームステージングを賃貸住宅の仲介、管理にすそ野を広げることができないかと、新たに投入したサービスが「AIステージングβ版」だ。
新サービスは、AIが360°パノラマ画像にコンピューターグラフィックス(CG)家具を自動で配置する。これにより、複数の家具配置バリエーションの同時作成と翌日での納品を実現。既存のサービスでは納品まで5~10日かかっており、大幅な納期短縮を可能にした。価格は現在検討中だが、既存サービスの10分の1程度にしたい考えだ。同社が昨年実施したフィジビリティスタディによると、空室を360°パノラマ画像で紹介した時に比べ、CG家具あり画像で紹介した物件のほうが反響・問い合わせの数は1.4倍増えた。「同一物件を複数事業者が紹介する仲介分野では差別化につながる」(同社)。短納期と低コストという特長も合わせて、不動産の仲介・管理分野での需要を掘り起こす考えだ。
同社は、コロナ禍での期間を「バーチャルツアーが根付いてきた1年」と話している。間取り図の作成など新たなサービスも今後期待され「バーチャルツアーの需要のすそ野をさらに広げていく」と意欲を示す。
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ハウジング・トリビューンVol.615(2021年4号)
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「中古マンションを購入してリノベーション」ということが住まいの選択肢の一つとして定着する一方で、戸建住宅のリノベーションについては、ニーズはあるものの工事の難しさ、性能の確保、コストアップなどのハードルも多く普及には至っていない。しかしここにきて建材メーカーなどが中心となり戸建住宅の性能向上リノベーションを支援する動きが活発化している。日本では戸建住宅の方がマンションよりもストック数は多く、新築市場が縮小していく中で有望市場であることは間違いない。戸建リノベの収益化に向け、どのようなアプローチが有効なのか。トップランナーの事業者の動きからヒントが見えてくる。
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