“脱・都心”戸建分譲マーケット

テレワークの普及で活気づく

コロナ禍で住宅市場にも大きな影響がある中、戸建分譲住宅市場が好調だ。
特に、東京都心から離れた首都圏の郊外やさらにその先のエリアの分譲マーケットに注目が集まっている。
テレワークの普及で通勤時間を考慮する必要性が減ったことで、都心より広い居住環境を確保できるなどの理由で需要がにわかに高まっている。
新たな動きとして注目が集まる「脱・都心」戸建分譲マーケット──、その実情と今後の展望に迫る。

コロナ禍で「脱・都心」の動き
郊外などへ住み替え意欲高まる

都心23区の人口が減少
都全体でも6ヶ月連続転出超過

首都圏の居住地域のニーズに変化が出始めている。これまでは、働き盛りの若い世代を中心に、職場とできるだけ近い「職住近接」の居住ニーズが高かった。しかし、コロナ禍でテレワークが一気に普及し「職住一致」の傾向が強まったことで、必ずしも居住地域と職場との距離が近くなくても良いという状況が生まれ、特に賃貸住宅に住む一次取得者層で東京都心から一都三県の郊外エリアや、さらにその先のエリアへ住む場所を変える「脱・都心」の動きが高まっている。

2020年、東京都で人口の「転出超過」が進んだ。東京都は昨年7月から6カ月連続の転出超過が続いている。逆に神奈川県、千葉県、埼玉県の周辺3県は転入超過が続いており、東京都から周辺に移動している様子がうかがえる。

都内の人口減少を細かくみると23区中12区で減少、特に新宿区、豊島区、江戸川区では2000人以上の減少だ。その一方で多摩地域では概ねどの市町村でも人口が増加しており、都内中心部から郊外へという動き、また他府県からの流入も23区内より多摩地域へという動きが進んでいることがわかる。住むなら都市中心部よりも自然豊かな郊外がいい、そんな動きが加速しつつある。

こうした傾向は、民間の調査でも出てきている。

ミサワホーム総合研究所が全国の男女824名(既婚者、世帯年収400万円以上、新型コロナウイルスの影響で在宅勤務の人)に行った調査によると、「住む地域として、人口が密集した都心部よりも自然豊かな郊外が良いと思うようになった」という人が6割超の結果となった(上図参照)。

また、LIFULLが住宅・不動産ポータルサイト「LIFULL HOME'S」の一都三県のユーザーに対して、コロナ禍で住みたい街を聞いたところ、郊外の本厚木がトップとなり、他にも、千葉、八王子、津田沼、八潮、平塚など、都心から離れた街が上位に多数登場している。

長谷工アーベストが首都圏居住者2775名を対象に実施したアンケート調査「住みたい街(駅)ランキング2020」でも、前回は20位圏外だった津田沼や川口、鎌倉、橋本といった街がランクインしており、郊外住宅地の人気が高まっていることがわかる。

「脱・都心」の戸建分譲が好調
過去最高の業績も


この記事はプレミアム会員限定記事です。
プレミアム会員になると続きをお読みいただけます。

新規会員登録

(無料会員登録後にプレミアム会員へのアップグレードが可能になります)

アカウントをお持ちの方

ご登録いただいた文字列と異なったパスワードが連続で入力された場合、一定時間ログインやご登録の操作ができなくなります。時間をおいて再度お試しください。