2020.12.11

北一タカハシ建設、寺社建築に大型パネルを採用

宮大工は熟練の技を本堂工事に集中

北一タカハシ建設(北海道札幌市、髙橋一彦代表取締役)は、大型パネルを採用し寺社建築を上棟した。熟練の技術が求められる本堂の工事に宮大工を集中させることで、生産性向上を実現した。


北一タカハシ建設は、宮大工5人含む大工11人を社員として雇い、寺社仏閣の建設を得意とする工務店だ。1999年の創業以来、北海道・東北で80棟以上の神社仏閣の新築、維持保全、増改築の実績がある。また、宮大工の腕を生かし、木材や瓦など優れた素材を活かした風格ある木造住宅づくりにも取り組んでいる。

照源寺の施工現場。大型パネルの採用で通常3カ月かかる工期を2日に短縮

今回、夕張市で「照源寺」という寺社の本堂新築工事を請負い、初めてウッドステーションの大型パネルを採用した。柱、梁、断熱材、サッシなどを工場で加工、組立てユニット化した大型パネルを現場に搬送し、クレーンで組み上げることで、一日で上棟、サッシ、断熱、防水工事及び防犯対策までが完了する。

照源寺は、全体で140坪の建物面積のうち半分が本堂、もう半分が納骨堂、和室の控室などで構成する一般建築が占める。その一般建築の部分を大型パネルで上棟した。

大型パネルには、厚さ50mmのウレタン系断熱材、また、Low-Eペアガラスの樹脂サッシを搭載。さらに、大型パネルの内側に工場で遮熱シートを施工し、パネルの内側に厚さ75mmで現場発泡断熱材を吹き付け北海道の新築住宅並みの断熱性能を確保した。

照源寺の、納骨堂、和室の控室などで構成される一般建築を、プレカット材のみで職人の手に頼りながら現場で上棟すれば、高断熱仕様を標準化していることもあり3カ月以上の工期がかかる。今回、同社は照源寺の他にも別の案件も抱えていて職人を確保することが難しい状況だった。よりスピーディーに建て方の作業を進めることはできないか模索する中で大型パネルを知り採用に至った。大型パネルを採用することで通常3カ月かかる工事を2日で完了できた。

2×4材を組み合わせたギャングネイルトラスの採用で、屋根の組み上げ工事も1カ月から4日に短縮

また、照源寺では、2×4材を組み合わせたフラットタイプのトラス「ギャングネイルトラス」を大型パネルと同じように工場でつくり現場に搬入しクレーンで組み上げた。これにより通常、1カ月以上かかる屋根を組む工事を4日に短縮できた。

髙橋社長は「職人不足が深刻化する中で、熟練の技術が求められないところにも、熟練の技術を持つ職人で対応していては、会社が持たない。今回、照源寺では大型パネルやギャングネイルトラスの採用により大幅に施工の手間、工期を削減できた。その分、宮大工は、熟練の技術が必要な本堂の手刻みなど工事に集中できる。大型パネル、ギャングネイルトラスのような新しい技術で置き換えられるところは置き換え、生産性向上、経営の効率化を図っていきたい」と話す。