木造住宅にDXの波

データ連携で業務改革

木造住宅の分野で、住宅データを連携させ、構造図作成、プレカット図作成、さらに構造計算、積算・見積といった業務効率を格段に高めるソリューション提案が活発化している。住宅業界のDX(デジタルトランスフォーメーション)ともいえる波は、ビルダー、建材流通事業者、プレカット工場など、多岐にわたる関係者にどのような影響をもたらすのか。単に生産性向上にとどまらず、新たな価値の創出、競争力強化といった効果も期待できそうだ。

住宅の性能、品質管理が求められる時代
データの再入力問題がクローズアップ

木造住宅の分野では、かねてからデータの再入力問題が指摘されてきた。木造住宅の設計、生産業務では、意匠図作成、構造図作成、プレカット図作成、また、構造設計、積算・見積といった各業務を効率化するソフトは存在するが、それぞれがデータ連携できず、非効率な状態にとどまっている。

特別認定を保有するハウスメーカーは、住宅データを一元管理し、設計と生産が連動する生産方式を確立している。また、設備や建材に至るまでオリジナル品を採用し、生産現場に効率的に納入するサプライチェーンを構築し、世界最高レベルで工業化、無駄の排除、品質確保を実現している。しかし、クローズド工法であるために、私企業の範囲内の最適化であることは否めない。

対して、新設住宅市場の8割超を占める、在来軸組工法、2×4工法のオープン工法の分野では、木材のプレカットのレベルの工業化にとどまり、設計と生産の情報連動は進んでいない。

大半のビルダーは、意匠図までを作成し、その後の、構造図作成、プレカット図作成、構造計算などの業務は、設計事務所や流通事業者、プレカット工場、構造設計事務所などに任せている。分業化が進んでいるともいえるが、意匠図から構造図、構造図からプレカット図を作成するといった各段階で、それぞれのプレーヤーが手作業でデータを再入力しているのが実情であり、手間がかかり、人為的なミスも発生しやすい。設計変更や納まりなどにミスがあれば、何度もアナログなやり方でデータを再入力する必要があり、さらにミス発生のリスクは高まる。

「意匠図、構造図、施工図、それぞれの整合性が取れていないことは木造住宅の業界ではよくある」と関係者は話す。

それでも熟練の大工が豊富にいた時代は何とかなっていたのかもしれない。受け取った意匠図を元に、大工が頭の中で施工図をつくり現場を何とか納めてきた。しかし、大工が高齢化し、職人不足が深刻化する中で、もはや熟練の大工、職人に依存することは限界にきている。

また、時代の要請で、住宅事業者には、より高いレベルでの住宅の品質、性能確保への取り組みが求められている。

2020年4月、民法改正により「瑕疵」という文言が「契約不適合」へと言い換えられた。これにより、消費者が契約時に約束された品質や性能に対してより敏感になり、厳しい目が向けられることが予想される。

また、改正建築物省エネ法により、2021年4月から、住宅の建築主の行動変容を促すことを目的に、建築主に対して建築士が省エネ基準への適合の可否などの説明を義務付ける制度がスタートする。加えて、2020年3月施行の改正建築士法でも木造戸建て住宅などの4号建築物や建築確認が不要な建築物についても壁量計算書や構造計算書などを15年間、保存することが義務付けられた。

こうした一連の制度改正もあり、住宅品質、性能がこれまで以上に問われる時代になってくることは間違いない。従来の業務フローのまま、意匠図、設計図、施工図の整合性が取れていない状態では、住宅の品質、性能向上はおぼつかない。こうした背景から、木造住宅のデータ連携ということがクローズアップされ始め、様々なソリューション提案が活発化してきている。

進むデータ連携の環境整備
革新的なソリューションも

【NPO法人シーデクセマ評議会】共通言語「シーデクセマ」がデータ連携のベースに


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