市場拡大への機運高まる リースバック
OB顧客の満足度向上、FCの新メニュー、相続対策など
自宅の売却後も賃料を支払うことで、自宅に住み続けながらまとまったお金を得られる「リースバック」への注目度が急上昇している。
今年に入り、OB顧客の満足度向上、FCの新メニュー、相続対策などを目的に、多くの住宅事業者が新規参入。
ゼロ円で賃貸化するなどのこれまでにない新サービスの提案も出てきた。
また、既存の事業者も業績を伸ばしているとともに、国も市場整備に向けた動きを開始しており、市場拡大の機運が一気に高まっている
売却しても自宅に住み続けられる
リースバックへの注目度高まる
自宅を活用してまとまった資金を確保する手段として、「リースバック」への注目度が高まっている。ここにきて新規参入が相次ぎ、既存の事業者も提案を加速、さらには国も市場整備を進めており、市場拡大の機運が一気に高まっている。
リースバックは、自宅を専門の不動産会社へ売却後、買主のオーナーに対してリース料(家賃)を支払うことで、売却後も自宅に住み続けられるサービスだ。
言うまでもなく、通常は自宅を売却すれば引っ越す必要があるが、リースバックを利用すれば引っ越さずに自宅に住み続けられるというのが最大の特徴だ。利用者は所有権を手放すことになるが、自宅の売却でまとまったお金を得ることができ、固定資産税などの維持費が不要になる。マンションの場合は、管理費・修繕積立金の支払いも必要なくなる。
一方で、利用者にとって注意が必要なのは、不動産会社の買取額が通常の買取額の7割程度と低く、家賃設定は年間で買取額の1割程度と相場よりも高くなるケースが多いということ。不動産会社は、買い取った不動産をすぐに市場で販売できるわけではなく、リースバックの契約期間終了を待つ必要があるため、将来的な不動産の下落リスクなどを鑑みて、通常よりも買取額は低め、家賃設定は高めに設定するためだ。
また、リースバックは必ずしも全ての地域で利用できるとは限らない。郊外や農村では建物・土地の評価額が小さいため、不動産会社が買い取って売却する際の利益が少なくなる。このためリースバック事業を展開する企業は主に都市部を中心に事業展開している。
リースバックの賃貸契約形態は、賃貸契約を更新できる「普通借家契約」と、更新できない「定期借家契約」がある。
大手の事業者ではどちらも選べるようにしているところもあるが、事業者としては、買い取った不動産を売却することで大きな収益を得たいため、賃貸期間の不透明な普通借家契約は賃貸期間の決まった定期借家契約よりも高めに家賃が設定されることが多い。
また、大手の事業者が提供するリースバックの多くは、自宅を買い戻せる契約を行うことができる。
リースバックは、自宅に住み続けながら資金を得られる点で「リバースモーゲージ」と比較されることも多い。リバースモーゲージは自宅を担保に資金を借入し、借入者の死亡時に担保の自宅を売却することで借入金を返済する金融サービスである。
リバースモーゲージは資金の用途制限があることや対象が原則65歳以上であること、残債がある場合は利用できないなどの条件があるが、リースバックはこうした条件がないため、自宅を活用した新たな資金確保の手段として注目が高まっている。
利用者の7割が高齢者老後資金や医療費の確保に活用
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