2020.10.7

YKK AP、静岡県富士市で戸建リノベ

「耐震」も「断熱」も4倍以上に

YKK APは、中古戸建住宅の性能向上リノベーションを実証するプロジェクトの一環として、静岡県富士市の築45年の木造住宅にリノベーションを施し「断熱」と「耐震」ともに4倍以上の性能向上を実現した。

「静岡 富士の家」のビフォー、アフター。
「静岡 富士の家」のビフォー、アフター。新築で建てるよりも2、3割のコスト削減効果が見込める

エコで健康志向の家づくりを推進するエコフィールド(静岡県富士市、強矢到社長)と共働し、中古戸建住宅の性能向上リノベーションを実証するプロジェクトの中部地方初物件として、「静岡 富士の家」の建設実証を行った。

YKK APで最も断熱性能の高い高性能トリプルガラス樹脂窓「APW430」へ入れ替えたことなどで、断熱性能は改修前の約4倍に向上(UA値:改修前1.94W/(㎡・K)⇒改修後0.43W/(㎡・K))し、北海道並みの断熱レベルを実現。冬場のヒートショックリスクを軽減し、年間冷暖房費も3割以上の削減効果が見込める。

また、YKK APの開口部耐震商品「FRAMEⅡ」を採用することで、窓の数や面積を減らさずに開口部の耐力壁量を増やし、震度6強の地震でも倒壊しない耐震等級3相当の強度まで高めた。上部構造評点は、改修前0.35[倒壊する可能性がある]から、改修後1.68[倒壊しない]まで向上した。

エコフィールドの強矢大輔常務は、「リノベーションにあたり、外皮をはがしスケルトン状態にしたところ、シロアリ被害により想定以上に傷んでいた。しかし傷みの激しいところを部分的に取り換えられるのが木造住宅のメリットでもある。生かせる部分は生かしてゴミを減らし環境面にも配慮した。スケルトン状態にすることで新築に近い工事を行うことができた」と報告した。

中古住宅の生かせるものは生かし、性能向上リノベーションを施すことで、「静岡 富士の家」と同レベルの性能を確保した住宅を新築で建てるよりもコストを約2、3割削減できるという。

エコフィールドの強矢到社長は「空き家を壊すのではなく、生かす時代になった。性能向上リノベーションで空き家、また中古住宅を生かす提案を強化していきたい」と述べた。

プロジェクトスタートから3年
見学に1200社、2800人

中古戸建住宅の性能向上リノベーションを実証するプロジェクトは2017年のスタートから3年目を迎える。

今回の「静岡 富士の家」は11件目の実証事例になる。これまでに、住宅事業者など1200社、2800人弱が見学会に参加した。

「中古戸建住宅の性能向上リノベの認知度は高まり、実際に取り組む事業者も増えている。新築同等または上回る性能、リノベならではのデザイン、新築に勝るコスパ、新築では見つけられない好立地といった様々なメリットをもたらす。住宅取得の選択肢として認知度がさらに高まっていくように、プロジェクトを通じた取り組みをさらに強化してきたい」(同社)考えだ。2020年度中に、愛知、熊本で、進行中のプロジェクト物件を公開する予定。