2020.10.5

ヤマダホームズ、水害対策仕様を住宅全商品に展開

止水板の提案や設計に工夫

ヤマダホームズは、水害対策仕様を住宅の全商品で展開を始めた。これまでに同社はオフグリッドの蓄電池などを提案しており、水害対策を新たに加えることで、災害に強い家づくりの幅を広げる。

門扉部分への止水板の施工例

同社は、余剰電力を売電せずに、そのまま蓄電池にため込む「オフグリッド」と呼ばれる電力システムの導入などをパッケージにした「NEXIS」を軸に、災害時に強い住宅を提案。オフグリッドの他にも、常時、蓄電池から電気をとれるため、空気から水を作り出す製水器を用意するなど、災害対策としては他の住宅メーカーとの差別化を鮮明にしている。

基礎部分浸水対策仕様イメージ図
逆流防止弁設置イメージ図

また、新型コロナウイルス感染症が問題視される中、同社は、菌やウイルスなどに対して安全な快適生活を提供するためのサービス「NEXIS抗菌+」を提案。例えば、住まいに菌やウイルスを持ち込まないよう、玄関ポーチで埃を落とし、次にシャワーといった具合に、そのままリビングに行かないような動線を設計する。リビングでもウイルス、殺菌低減効果のあるフローリングや壁紙などの提案も行っている。

今回の水害対策仕様のアイテム提案は、これまでの災害を意識した住宅づくりの一環。近年、ゲリラ豪雨や台風などにより各地で水害被害が発生。床上・床下浸水など住宅への被害も数多くでており、水害対策は住宅業界で注目している大きなテーマの1つ。同社は、その点に着目した。

仕様のポイントは2つ。1つは浸水を最小限にとどめ、復旧しやすく工夫した。1階床下浸水レベル(地盤より1m浸水)未満を想定。建物周囲には浸水ハザードマップで確認した浸水水位以上の塀の高さを設置し、玄関、車庫などの開口部前は止水板を設けて浸水を防ぐ。また、建物本体には、ベタ基礎と立ち上がりの継ぎ目、および貫通サヤ管を止水し、建物への浸水を最小限にとどめる仕様だ。トイレなどからの逆流も問題視されていることから、汚水ますには逆流防止弁を設置。また、床下に浸水した場合でも排水できるよう、基礎内部の水抜きを設置するなど、復旧のしやすさにも配慮する。

もう1つは、浸水被害を受けても最低限の生活が維持できるよう、設計上の配慮もしている。例えば、水害対策を配慮した間取りとして、2階にキッチン、浴室などの水回り設備や寝室などを計画。1、2階の分電盤回路を分割するなどの提案も。脱出・救出用としてバルコニーを設けている。

水害対策仕様は同社販売の住宅商品すべてにオプションとして対応可能。同社は「住宅プランを考えるうえで、水害対策は今後重要になってくる。今後さらにアイテムを増やしていきたい」と強調する。