国交省、容積率緩和で水害対策を促進
雨水貯留施設、建物の中高層階における避難スペース、備蓄倉庫など
国土交通省は、水害対策に取り組む民間事業者主体の都市開発に対して建物の容積率緩和に乗り出した。近年、市街地で目立つ大雨による「内水氾濫」などに対応。同省は9月7日、「都市における水災害対策を進めるための容積率緩和の考え方」の通知を地方公共団体に発出し、運用を促した。
近年、豪雨や台風で大きな水害が相次いでいる。同省は「総力戦で挑む防災・減災プロジェクト」を立ち上げ、「防災・減災のためのすまい方や土地利用のあり方」を一つのテーマとして検討。その一環として、「水災害対策とまちづくりの連携のあり方」検討会を立ち上げ、議論を重ねてきた。
8月下旬に同検討会がとりまとめた提言では、水害リスクの軽減に資する取組みを講じるインセンティブを付与する仕組みの検討が必要とされた。中でも、民間事業者が主体となり、狭小敷地の集約など都市機能の更新や都市再生を目的として行われる開発事業(都市開発プロジェクト)に併せて、都市の防災機能の向上に資する取組みを一体的に行うことが有効とされた。こうした取組みを促進するためには、都市開発プロジェクトにおける都市の水害対策に資する取組みを「防災貢献」として評価し、その評価内容に応じて、建築物の容積率の最高限度を割り増すことが有効になると判断し、同省は緩和に動いた。
同省は、防災貢献として想定される内容として、①都市開発プロジェクトの敷地内における取組み②都市開発プロジェクトの周辺街区における取組み③都市開発プロジェクトの敷地から離れた土地における取組み──の3つを例に挙げる。
都市開発プロジェクトの敷地内では、雨水貯留施設や雨水浸透施設などの地域の浸水リスクを軽減するための施設整備。建物の中高層階における避難スペース、避難路、備蓄倉庫などの災害時の周辺住民などの避難に資する施設の整備が示されている。また、都市開発プロジェクトの周辺街区では、そのプロジェクトと一体的に、雨水貯留施設、雨水浸透施設などの地域の浸水リスクを軽減するための施設整備の他に、避難タワー、高台公園などの避難施設、避難路、備蓄倉庫などの災害時の周辺住民などの避難に資する施設の整備を行うことなど。
都市開発プロジェクトの敷地から離れた土地では、その敷地と同一流域内にある都市の水災害リスクの軽減に資する取組みを挙げた。例えば、雨水貯留施設などの流域の広域的な浸水リスクを軽減するための施設整備の他、高規格堤防などの整備や水源涵養機能を有する緑地の保全・創出などへの協力、広域避難のための避難用地の確保などを例とした。
一方で、インセンティブの要となる防災貢献について同省は、流域の河川や下水道について定められた河川整備基本方針や、地域防災計画などとの整合性を求めた。
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