2020.9.18

住友林業、CLTで災害時移動式応急仮設住宅開発へ

茨城・境町、協働プラットフォームと協定締結

住友林業は、茨城県境町、(一社)協働プラットフォームと、CLTを活用した災害時移動式応急仮設住宅の開発に乗り出した。災害時に応急仮設住宅が必要な地域へ、簡単に移動ができる建物の実用化を目指す。実現すれば応急仮設住宅の工期が大幅に圧縮されるだけでなく、CLTの新たな大口需要としての可能性も高まる。

協定締結式で実用化への意気込みをみせる関係者(写真左から協働プラットフォーム代表理事の長坂俊成氏、橋本正裕町長、住友林業理事筑波研究所長の中嶋一郎氏)

災害救助法に基づく応急仮設住宅は①建設型(プレハブや木造などにより現地で組み立てる方式)②借り上げ型(既存の住宅を公費で借り上げる方式。みなし仮設住宅とも呼ばれる)③その他――の3つに分類されている。
移動式応急仮設住宅はその他に分類される。移動式応急仮設住宅とは、住宅を解体しないで、そのまま移設可能な応急仮設住宅だ。

近年、大きな災害が頻発し、仮設住宅を建設するケースが増えている。一方で、建てるまでに時間がかかり、その分、被災者の避難所での暮らしが長引くという課題もある。移動式の仮設住宅だと、こうした課題解消につながる。

3者は8月24日、CLTを活用した災害時移動式応急仮設住宅の開発で包括連携協定を結んだ。同社は木造住宅で培った技術を用いてCLTを活用した移動式応急仮設住宅の開発を担当する。

協働プラットフォームは災害専門家としてモバイルオフグリッド技術や応急仮設住宅の仕様など防災・減災に関する専門的な知見を提供。これらを踏まえ、同町は移動式応急仮設住宅の可能性を追求し災害に強いまちづくりを目指す。

同協定に基づき同町の公園内に同社が開発中の「CLT combo(仮称)」を1棟建設。平常時はキャンプ場などの宿泊体験施設として利用し、災害時には被災地へ移設し、応急仮設住宅として活用するというイメージだ。建物は電力やガス、上下水道などのライフラインが途絶した場合でも、太陽光発電、蓄電池を利用して、移動式住宅や車両へ電力などを供給する技術や、給水や排水が不要な循環式シャワーやバイオトイレなどを装備するモバイルオフグリッドとなっている。

まずは9月からおよそ1年かけて実証実験を行いながら、実用化を目指す。

橋本正裕町長は「日本初のCLT技術を用いた移動式応急仮設住宅の開発と社会的備蓄に取り組み、全国の自治体との相互支援のネットワークを広げていきたい」と強調する。

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