2020.9.16

相次ぐテレワーク対応の賃貸住宅

"音"への悩み問題に対応するメーカーも

アフターコロナ・ウイズコロナでの暮らし方が模索される中、テレワーク対応の賃貸住宅を投入する住宅メーカーが相次いでいる。リビングダイニングで仕事をする人の割合が賃貸住宅では6割超と、持ち家などに比べて高いという調査結果もある。仕事に集中できる環境整備の提案が、今後、賃貸住宅でも活発化しそうだ。

大東建託は、テレワーク対応型の間取りプランを採用した賃貸住宅の販売を始めた。木造2階建て商品「KLEUR(クルール)」ではワークスペースや物干しスペースなど用途を限定せずに利用できる個室を提案している。また、10月には別の木造2階建て賃貸住宅で、可動式の間仕切りを採用し、必要な時にテレワーク空間が確保できる商品を投入する。

大和ハウス工業は、高遮音床や高遮音界壁を採用した3階建て賃貸住宅「GRACA(グラサ)」を売り出した。住宅でのテレワークで、最も多い悩みの1つが”音”に関すること。それに対応した形だ。

高遮音床には、一般的な鉄骨造を上回る遮音性能「LL-45」「LH-60」をスタンダード仕様にした。RC造のマンションと同等以上になる業界最高クラスの遮音性能「LL-40」「LH-50」を実現した「エクセレント仕様」も提案する。また、高遮音外壁には、一般的な賃貸住宅を2ランク上回る遮音性能「D-50」を「スタンダード仕様」に。高遮音床と同じように「エクセレント仕様」も提案。業界最高クラスの遮音性能「D-55」を取り入れた。

同社は「新型コロナウイルスの感染拡大の影響によるテレワークの普及、外出自粛による在宅時間の増加に伴い、より快適な居住空間を求める傾向が強くなっている」としており、床と壁両面から遮音性能の向上を図った。

パナソニック ホームズは、テレワークには欠かせないインターネット環境に着目する。IoT賃貸住宅「YOUR MAISON(ユアメゾン)」で、最大1Gbpsの賃貸住宅向けシェア型インターネットサービス「iのぞみネット by PH光」を用意。建物に引き込んだ1本の光回線を各戸へ分岐することで、入居当日から、インターネットの利用が可能になり、快適な通信環境を居住者に提供する。

同社は首都圏在住者を対象にテレワークに関する調査を実施した。「テレワークをする際の条件として、多少値段が高くなっても欲しいと思う住まいの付加価値」を尋ねたところ、トップはインターネット環境だった。次いで「仕事に集中できる個室」、「テレワーク用の据え付けデスク・カウンター」が続いた。

今後、一定程度テレワークの浸透が見込まれている。それだけにテレワークスペースの確保にとどまらない、より踏み込んだ提案が、商品の差別化を図る上で重要になりそうだ。

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ハウジング・トリビューンVol.610(2020年22号)

特集:

災害広域化に備え、求められる数、速さ、居住性

近年、大規模な自然災害が相次いでいる。平成22年度から令和元年度までで半壊以上の住家被害が1000戸以上の災害は東日本大震災をはじめ13災害に上る。令和2年も熊本県などに大きな被害をもたらした「令和2年7月豪雨」が発生。死者・行方不明者80人超、家屋被害は全半壊だけで6000戸に及んだ。今年は新型コロナウイルス感染症という、これまでにない問題も発生し、これまで以上に避難生活から仮設期の暮らしへのスピーディーな移行が求められる。

応急仮設住宅は、「建設型」での対応が行われていたが、災害被害の拡大にともなってより多くの住宅が必要になったことで「みなし仮設」とよばれる「賃貸型」が導入、その活用が広がった。そして、今、注目を集めているのがトレーラーハウスやムービングハウスなどの移動式仮設住宅だ。

今後、南海トラフや首都直下などの大地震による想像を絶するほど大規模な家屋被害も予想される。それだけに仮設期の住宅供給をどうするのかを平時の今から考えなければならない。移動式仮設住宅は、プレハブや木造などの仮設住宅、民間住宅などを借り上げる「みなし住宅」に次ぐ3つ目の柱になるのか――。移動式仮設住宅の可能性を探った。

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