行政 |  2020.9.15

重説時の水害リスクの説明義務化始まる

水防法の洪水、内水、高潮が対象

住宅購入や賃貸などの契約前に水害リスクを説明することが8月28日、不動産業者に義務付けられた。昨今の台風などによる大雨での浸水被害が浸水区域内で相次いでいる。水害リスクを住み始める前から客に把握してもらい、逃げ遅れの回避につなげる。


宅地建物取引業法では、宅地、建物の購入者などに不測の損害が生じることを防止するため、不動産業者に対し、契約を締結するかどうかの判断に大きな影響を及ぼす「重要事項」の事前説明を義務付けている。災害については土砂災害や津波リスクは既に重要事項の説明項目となっていたが、浸水リスクはこれまで含まれていなかった。

近年、大規模水災害の頻発により甚大な被害が相次いで発生。水害リスクに関する情報は不動産取引でも今や重要な要素の1つとなっている。そこで国土交通省は関係省令を改正。重要事項説明の対象項目に水防法の規定に基づき作成された水害ハザードマップを追加した。

水防法に基づき作成された水害ハザードマップの対象になるのは洪水と内水、高潮。不動産業者は、取引対象となる宅地、建物のある市町村のHPなどから最新の水害ハザードマップを入手。客にそれぞれのハザードマップを提示しながら、関連する不動産のおおよその場所を示すことが求められる。また、水害ハザードマップを作成していない市町村があった場合、不動産業者は市町村への照会など調査義務を果たし、客に水害ハザードマップが存在しないという説明をしなければならない。

水害ハザードマップに記載されている内容の説明までは不動産業者に義務付けてはいないが、水害ハザードマップ上に記載された避難所の位置を示すことは「望ましい」としている。

対象不動産が水害ハザードマップの浸水想定区域に含まれていなくても、水害リスクがないと客に誤認させないよう配慮も求めている。同省が公表したQ&Aによると「水害ハザードマップに記載してある、雨の降り方や土地利用の変化等により地図に示した浸水区域以外のところでも浸水することがありますので、ご注意ください」や「洪水浸水想定区域に指定されていない区域においても浸水が発生する場合があります」と例示。「そのような文言を相手方に示しながら、当該文言を読み上げた上で、詳細については市町村に問い合わせるよう案内することが考えられます」としている。

度重なる豪雨被害で近年、水害ハザードマップが重要視されている。7月に熊本県などを襲った集中豪雨で2200棟の住宅で全半壊の被害のあった人吉市では、ハザードマップで予想されていた浸水エリアと実際の被害エリアがほぼ重なっていた。

今回、水害ハザードマップが重要事項説明の項目に追加されたことで、これまで以上に水害対策の提案が住宅メーカーなどに求められることになりそうだ。

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地に足のついた営業で一足先に受注回復へ

新型コロナウイルス感染拡大による緊急事態宣言解除から3カ月が過ぎた。
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客との対面でのやりとりができなくなる中、住宅メーカー各社が緊急対応として取り入れたオンラインによる打ち合わせやVRなどの導入によるWebの強化策。
2ケタ台の落ち込みが相次ぐ7月に、一足早く前年対比を上回ったメーカーから見えてきたのは、地に足のついた営業姿勢だった。
一部では非対面での住宅営業が進むとの見方もある中、他よりも一足早く受注が回復したにメーカーでは、「地道に丁寧な営業を重ねた結果で、奇をてらった対応はしていない」と口をそろえる。

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関根正人氏/板垣修氏