ステイジモト

新型コロナ禍で見直される地域の力

【総論】緊急事態宣言解除後もテレワーク実施目立つ
昼間人口の増加で街の新たな課題も浮上

新型コロナ禍で広がったテレワーク。
このテレワークが住まい手の居住するエリアの昼間人口を押し上げ、“地元”に目を向ける動きが出ている。完全テレワークとなれば、通勤を意識せず、好きな場所で暮らすというケースも増えるが、それはまだまだ先の話だ。
ただ、確実にテレワークを業務形態の一部として組み込む企業は増加。
テレワークをすると、“地元”への滞在時間が長くなるというのは今回のコロナで実証済みだ。
一方で、ランチ難民などの言葉も生まれた。
エリアマネジメントを通じて、“地元”を活性化する、街づくりのヒントを探る。

緊急宣言解除後もテレワークは実施されている

今回のコロナ禍でテレワークの導入が大きく進んだ。パーソル総合研究所が実施した、緊急事態宣言(7都府県)後のテレワークの実態調査によると、テレワークの実施率は全国平均で27.9%。緊急事態宣言が発出される前の3月上・中旬に実施したときに比べ、実施率は2倍に増えていた。それでは緊急事態宣言が解除された後はどうなったのか。5月29〜6月2日でのテレワークの実施率は全国平均で25.7%。緊急事態宣言時よりも下がってはいるものの、新型コロナウイルス感染拡大を防ぐためテレワークを続ける企業が少なくないことが要因とみられる。

緊急事態宣言による外出自粛で昼間人口が増えた

もっとも、このテレワークだが、全国的に普及するかというと現状そうではなさそうだ。最もテレワークが実施されているのは東京都。4月の実施率は49.1%で、約半分がテレワークを経験している。神奈川(42.7%)、埼玉(34.2%)、千葉(38%)が続くが、東京に比べると2位の神奈川でも6.4ポイントの差がついている。この差は、緊急事態宣言解除後はさらに拡大した。5月の東京での実施率は48.1%と1ポイント減となったが、神奈川では39.2%、埼玉では29.6%、千葉は27.8%にそれぞれ減少。東京との間で実施率の差がさらに広がった。

今回のテレワークで、人の暮らしに様々な影響を与えたが、その中で注目したいのは昼間人口の増加だ。Agoopがまとめた「新型コロナウイルス拡散における感染症流行時の人流変化の解析」によると、新型コロナウイルス感染症への感染者拡大に伴い、全国的に移動自粛などが実施された影響で、都心では人口の著しい減少が発生。郊外では分散する形で人口の増加が確認できたという。この解析からも、テレワークの導入は平日の昼間人口の増加をもたらす大きな要因であることがわかる。

ところが、この昼間人口が増えると、これまで想定していなかった問題も発生した。というのも、これまで、働くところに応じて、通勤のために住む場所を決めるケースが多かった。いわゆる“職住近接”だ。このため、家へ寝に帰る夜間人口が多い地域では、テレワークによる昼間人口の増加に対応しきれない事態があちこちで起きた。例えば、子育て世帯に人気の高い、流山市のつくばエクスプレス(TX)沿線の地域では、ランチ難民が発生した。「在宅ワークが増え、昼間人口が急増すると、もともと、そんなに飲食店がたくさんあるわけではないエリアでは、ランチ需要に対応しようと飲食店ではテイクアウトを始めたが、1時間ぐらいで売り切れる店が続出した」と流山市総合政策部マーケティング課の河尻和佳子課長は話す。


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