急増する木質バイオマス需要 燃料として適切な利用を(上)
燃料材が総需要の1割に
新型コロナの流行で社会経済全体の停滞がはなはだしい。住宅をはじめとする建築需要も落ち込み、当然、木材の動きも芳しくない。製材品や合板の荷動きは鈍り、丸太の需要は減少し、価格も低下している。だが、このような情勢下でも、木材を旺盛に受け入れている需要者がいる。木質バイオマス発電所である。

東日本大震災で原子力発電所が被災したことを契機として、震災翌年の2012年に再生可能エネルギー固定価格買取制度(FIT)が導入された。太陽光や風力、地熱、そして木材など、環境適合性の高いエネルギーを利用して発電された電力を国が定めた価格で買い取ることにより、そうしたエネルギーの利用を促進しようというのが狙いである。
木質燃料の買取価格は図1の通りで、伐り捨てられる間伐材や伐根など、伐採跡地に放置される未利用材がもっとも高く設定されている。このように価格が保証されていることに加えて、発電した電力はすべて買い入れてもらえるため、経済情勢の影響も受けない。投資効果が定量的に見込めるということで、木質バイオマス発電所の建設が全国各地で相次ぎ、燃料用木材の需要が急増することになった。
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